児湯全域の制限解除 民間種雄牛を殺処分

(2010年7月18日付)

 口蹄疫問題で県は17日、高鍋町の民間種雄牛6頭の殺処分と農場の防疫措置を完了し、18日午前0時、この農場を中心とした家畜の移動制限区域(半径10キロ)を解除した。これにより、国内で初めてワクチン接種に踏み切った川南町を中心とする児湯地域での発生については、すべての移動・搬出制限区域が解除された。4月20日の都農町での第1例発生から90日ぶり。残る制限区域は、4日に発生した宮崎市跡江の農場を中心とした区域のみとなり、27日に解除の見通し。約29万頭が犠牲となった未曾有の本県口蹄疫は、全県的な終息へ向け、大きな節目を迎えた。

 種雄牛6頭の殺処分を拒んでいた高鍋町の農場経営者薦田長久さん(72)が処分を受け入れたことで、県は17日午前、作業に着手。県の家畜防疫員らが薦田さんの農場から種雄牛を町内の共同埋却地に運び、処分を行った。農場に残っていたふん尿や堆肥(たいひ)なども埋却。牛舎の消毒などすべての防疫措置を同日午後5時までに完了した。

 この農場を中心とした移動制限区域には高鍋、川南など2市4町が含まれていたが、18日午前0時に解除。併せてイベント自粛などを求める非常事態宣言も解除された。

 県は児湯地域の感染・感染疑い家畜の処分を6月24日に終了。国の防疫指針に基づき、21日を経過した今月16日に同地域の制限区域をすべて解除する予定だった。しかし、薦田さんが殺処分勧告を拒否したため、解除が不透明な情勢になった。このため東国原知事が種雄牛の救済方針を転換し、薦田さんに殺処分を要請。これにより、薦田さんの農場から半径10キロ圏内を移動制限区域として残し、それ以外の区域は16日解除された。

 宮崎市の移動・搬出制限区域の解除に向けては、発生農場から半径3キロ圏内で抗体検査のための採血を実施。20日から同3〜10キロ圏内で目視検査を行い、いずれも異常がなければ27日午前0時に解除される見通し。