社説
採用差別和解 雇用が確保されてこそ(6月30日)
旧国鉄の分割・民営化に伴うJRの不採用問題は、4月の政治決着に続いて司法の場でも和解にこぎつけた。
23年間に及ぶ「戦後最大の労働問題」は一区切りつくが、すべて解決したわけではない。雇用が確保されてこそ、最終的な決着であることをあらためて強調したい。
和解に達したのは、1987年の分割・民営化に反対して、JRに採用されず、旧国鉄清算事業団からも解雇された国労組合員らが起こしていた5件の訴訟だ。
旧国鉄の債権・債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構を相手に、損害賠償や雇用関係の確認を求めていた。
機構が原告904世帯に対し、総額約200億円の解決金を支払い、原告側は一連の訴訟を取り下げることで合意した。
先の政治決着には、これらの和解条件のほか、政府がJR各社に200人程度の雇用を要請することが盛り込まれている。
だが、JR各社は雇用に極めて消極的なままだ。JRに採用責任がないことは最高裁判決で確定している、というのがその根拠だ。
分割・民営化に際して広域異動や他の官公庁などへの再就職に応じた職員が多数おり、雇用は公平感を損ねるとも主張している。
たしかに苦渋の選択を迫られ、鉄道を離れたりした人たちは多い。しかし、だからと言って、雇用を求め続けてきた人たちの声にまったく耳を貸さなくていいというものではないだろう。
原告側が雇用にこだわるのは、JRへの採用をめぐって組合差別があったためだ。所属組合によって採用率に大きな差があり、一連の訴訟でも、旧国鉄による不当労働行為が認められている。
採用差別により尊厳を傷つけられた、との訴えは十分に理解できる。
法的責任はないとしても、JR各社には旧国鉄の事業を継承した企業としての道義的責任があるはずだ。
政治の責任はさらに重い。
そもそも、この問題の決着に四半世紀近くもかかったのは、政治の怠慢というほかない。
本気で問題を解決しようという強い意志があれば、これまでに何度かあった和解の機会を逃すこともなかったはずだ。
分割・民営化は国鉄改革という国家プロジェクトとして断行された。当時の中曽根康弘首相の「1人も路頭に迷わせない」との約束を、今こそ果たさねばならない。
「要請」などというあいまいなものではなく、毅然(きぜん)とした姿勢で採用を働きかけてほしい。
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