数年前、暇つぶしに知人が捨てる予定だったハーレクインロマンス(小説)やハーレクインコミックを纏めて読んだことがあるんですが、けっこうはまりました。(笑
単純な娯楽として、何も考えずに読み流すには、BLと並んで最高のジャンルだと思いました。
ご存知ない方は、「ハーレクインロマンスって何?」という問いに対し、非常に的確且つ簡潔に現した回答を見つけたので、ご覧うじあれ。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q137062078
で、考えたのは、田中先生は、自分のキャラでボーイズラブされるのは「そんなファンはいらん」だそうですが、じゃあハーレクインロマンスされるのはどうなんだろ?
なんというか、ご本人もベッドシーンは書けない、恋愛は苦手と仰っていらっしゃるように、元々その手の描写を意識的に避けてらっしゃったので、その分ファンに妄想の余地を与えてくれるのでした。
男女の恋愛小説を書くのがどうも苦手だった私が、習作として、銀英キャラを使ってハーレクインの王道ラブロマンスに挑戦しようかと考えはじめたのはごく最近でした。
まず、主人公(女性)と相手役(男性)の条件として、最低以下を具えていなければなりせん。
①若い(20代から最大40代前半)美形である
②金と地位と権力がある
③ちょっと危険な香りがする
④女性にモテるタイプで恋愛経験豊富
⑤キスシーンやベッドシーンが様になる
ちなみに主人公たる女性の方は
①若く美しい(かわいい)女の子
②真面目で世間知らずなお嬢様
③恋愛に関してはおくて
銀英伝の主人公たるラインハルト様とお相手のヒルダ嬢をこれにあてはめてみると、ラインハルトに関しては、①と②は文句なくクリア。③の「危険な香り」というのを「戦争大好き病に罹っている」とこじつければ何とかクリア。
問題は④と⑤。確かにあの容姿なので、モテることには違いないのでしょうけど、原作でもラインハルトは恋愛経験ゼロ、性欲限りなくゼロの人間に描かれているので、これら条件はどうしてもクリアできず。
だが、5つの内3つクリアしているので、何とか合格としましょう。
続いてヒルダ嬢ですが、こちらは①②③の条件難なく全てクリア。
ちなみに、年齢設定としては、圧倒的に男の方が年上のパターンが多いです。
2、3歳差の場合もありますが、たいていは10歳前後、場合によっては20歳近く離れています。
その点では一才差のライ×ヒルは、ハーレクインの条件としては、ちと厳しいものがあるのですが、まあ、かろうじてでも男の方が年上なので、よしとしましょう。
さて、この二人で恋愛小説を書くとします。
帝国歴487年、19歳の伯爵令嬢ヒルデガルト・フォン・マリンドルフは、亡き母親の縁で懇意にしていたヴェストパーレ男爵夫人のサロンで、20歳の帝国軍上級大将ラインハルト・フォン・ローエングラム伯爵を紹介される。
互いを意識しつつなかなか関係が進展しない二人だったが、ある日、カストロプ動乱が起こり、一門として降伏を奨めに赴いたヒルダの父親は拘禁されてしまう。
マクシミリアン・フォン・カストロプは、ヒルダの美しさに目をとめ、父親の命と引き換えに妻になることを強要。拒んだヒルダも軟禁されてしまう。そこではじめて彼女は、自分のラインハルトへの気持ちに目覚めるのだった。(爆)
ヒルダの危機を知ったラインハルトも、その時はじめて自分の彼女への思いを自覚。ヒルダを救うべく、討伐軍司令官に志願する。
叛乱は無事鎮圧され、再会を喜び会う二人は、互いの思いを伝え合い・・・
あ、ダメ。(笑
この二人でラブシーンって書けない・・・
ラインハルトもヒルダもキャラからいってハーレクインお決まりの「少女マンガ以上に『絶対ありえねぇ』だら甘なセリフとベタベタな展開」ってのができない。
第一、ラインハルトってあれだけ美形なわりに、ラブシーンが全く似合わないキャラだし。
たとえほんとに恋愛関係になったとしても、この二人の場合、ハーレクインよりも、やっぱりどこまでいっても徳間デュアル文庫なんだなぁ・・・
いや、いっそ漫画化して、花男の二番煎じを狙って、ヒルダが美形で金も権力も地位もあるけどわがままで性格最悪なラインハルトを最後には手なずけるというストーリーで「マーガレット」か「少女コミック」で掲載とかwww
やっぱり作者に「そんなファンはいらん」と言われても、私にとってラインハルトは、女性とラブシーンを演じるよりも、キルヒアイスとの「少年愛」の方が似合ってるんですわ。
ミッターマイヤー夫妻、ユリアン&カリンで漫画描くと「なかよし」「りぼん」の60P読みきりだし、ヤン&デリカはラブシーンもベッドシーンもなしで「BE LOVE」か「オフィスYou」あたりが似合いだろうな。キルヒアイス×アンネローゼは年齢的な面でハーレクイン条件を満たさず×。
って、ここまで来て遂に登場。
銀英伝キャラの中で唯一の完璧「ハーレクイン男」、オスカー・フォン・ロイエンタール元帥が。(笑
そう、アホだのマザコンだのボロくそ言っておきながら、Jeriは何だかんだでロイエンタールのダメっぷりが愛しかったりします。(同様にヤンの間抜けぶりもラインハルトの暴君ぶりも貶しながらも愛しいのです>笑)
ロイエンタールってのは、相手が男でも女でも様になってしまうキャラなんですね。
問題は、彼を使って「だら甘なセリフとベタベタな展開」を描けるか?ってことなんですが・・・www
しかも最後がハッピーエンドって、滅茶苦茶ロイエンタールに似合わない。(笑
けど、それでもなんとなくロイエンタールにはハーレクイン・ロマンスがカチッとはまってしまう気がするのです。
主人公は、勿論、原作で最後までロイエンタールをお前呼ばわりで通した天晴れなエルフリーデ嬢。
なんのかんのといって、原作の設定を尊重したいJeriにとって、やっぱりノーマルカップリングを想定した場合、ラインハルトのお相手はヒルダであり、ヤンにはフレデリカしかないのと同様、ロイさんにはエルちゃんなんです。
さんざん「謎の関係」と言われているロイエンタールとエルフリーデですが、最近になって、もしかしたらあれが、恋愛描写を極力避けていた田中氏流の精一杯の「熱愛」描写なのでは?とすら思いはじめているのです。
考えてみれば、ロイとエルは、基本的に女が男に従っている図式の銀英伝の作中で、唯一互いの前で思う存分自分の本音をぶつけ合うということをした稀有な男女なのではないでしょうか。
そんじゃあ、本体サイトに掲載するつもりで書いてる長編とは別に、ここで銀英伝版ハーレクイン・ロマンス不定期連載しましょう。(今決めました)
主人公は、テロで家族を一度に失った権門の伯爵令嬢エルフリーデ・フォン・コールラウシュ。
彼女と政略結婚する16歳年上(ほんとは彼の両親と同じ二十歳差にしたかったんですが)の帝国元帥にオスカー・フォン・ロイエンタール。
帝国歴487年。リップシュタット戦役後期、キルヒアイス暗殺の数日前、枢軸派の首魁、リヒテンラーデ公が突然死。暗殺との噂もあったが真偽の程が確認できないまま枢軸派は分裂。続いて主だったリヒテンラーデ派やローエングラム陣営の貴族の館が次々と爆破炎上し、生き残った者達を恐怖のどん底に突き落とした。
リヒテンラーデ公の姪の嫁ぎ先であるコールラウシュ伯爵邸も木っ端微塵となり、屋敷内にいたものは、伯爵、伯爵夫人をはじめ、幼い息子と娘や仕えていた使用人達全員が死亡した。唯一生き残ったのは、貴族女学院に通って難を逃れた長女のエルフリーデだけであった。
エルフリーデは、大叔父の腰巾着で、いち早く時勢を読んでローエングラム公に忠誠を誓った財務尚書ゲルラッハ子爵の邸に身を寄せて過ごすことになったが、一夜にして家族全員を喪い、後ろ盾となる大叔父も既にない彼女は、ついこの前まで自分の周囲にあった世界が瞬時になくなってしまったという底なしの喪失感を味わっていた。
キルヒアイスの暗殺後、ローエングラム公に従順でなかった枢軸派貴族達は、悉く粛清されていった。権勢を誇った多くの門閥貴族達が路頭に迷う中で、エルフリーデは、自分を引き取ってくれたゲルラッハ子爵が、ローエングラム陣営に協力的だったことで、辛うじてオーディンに帝国貴族としての生活が保障されることとなった。
やがて、ラインハルトが即位し、新王朝がはじまると、かつての枢軸派貴族の生き残り達は、何とかもう一度自分達が陽の目を見る算段をはじめた。
若く美しいエルフは、カイザーを含めた軍首脳部の誰かに嫁がせて、リヒテンラーデ派の旧貴族達が、新政権の中枢に入り込むルートを作るという野望を持つ旧勢力の為の駒であった。
エルフリーデは、自分の置かれている状況を理解し、後見人となってくれる夫の存在が必要であることを自覚していた。
貴族の娘として、現在の保護者であるゲルラッハ子爵の意向に従う旨を伝えると、領地運営と、伯爵家の存続という大義名分の為、愛のない政略結婚を了承する。
当初、カイザー自身の妃候補の一人として、それとなく打診されたが、まったくその気のないラインハルトの態度や、やはり皇妃候補の筆頭とされている皇帝の信頼篤い主席秘書官と国務尚書たるその父親を敵に回すのを得策でないと判断した旧勢力派は、フォンの称号を持つ軍首脳部の独身者に、階級順に打診した。
皇帝即位式典後のパーティーに、着飾ったエルフリーデを連れ、順に挨拶させていくが、まず、オーベルシュタインは、にべもなく断った。
次に統帥本部総長のロイエンタール元帥の前に進み出たエルフ。
元々自分の方が身分が上との認識があるので、ロイエンタールのからかうような言動に、どうしても友好的な会話成り立たない。
その内、「無礼者!」とロイの横っ面を引っ叩いて退散。この縁談は破談になったと誰もが思う中で、なんと翌日ロイエンタールから結婚を受諾する返答が。
ただし、「茶番に何ヶ月も付き合う趣味はない」との意向で、結婚式は慌しく10日後に行われることになった。
心の準備がまったく出来ていなかったエルフリーデは戸惑うが、誰にも知られてはならない胸のときめきを秘め、結婚の準備に入る。
互いの陣営の利害が絡み、愛のない結婚と誰からも思われていたが、実は二人は最初に会った時から互いに惹かれていた。
二人はそれぞれ、相手は自分を愛していないと思い込んでいながら結婚生活を始める。
うーん。なんかどんどん書けてしまうのですね。あの二人だと。
こうなったら、サイト本体に発表するつもりの長編とは別に、カテゴリを作って、ここでこの「銀英伝でハーレクインロマンス」を不定期連載しようっと。
メイ 2009年09月24日(木)09時47分 編集・削除
初めまして。まこりんさんのブログに書かれたURLから辿って、ずっと拝見しています。
ヒルダ話でお二人が盛り上がっているのを読んで、大うけしてしまいまして、実は、自分でも小説を書き始めてしまいました。ヒルダを主人公に設定したものの、jeriさんのいうとおり、ロマンスになりまへん。もしかしたら、自分でブログを作って公開するかもしれないですが、余りに恥さらしなので、躊躇しているところ。
さて、jeriさんの黒ヒルダ小説を、すっごく楽しみにしてるんですけど、まだどこにもアップされてませんよね?このブログをみてたら、いつかアップされたら分かりますか。