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20年前の妄想

私は今回初めて銀英伝の二次創作小説を書いているわけですが、よく考えると完全に初めてではないことを思い出しました。

今から約20年前、まだ同人誌の文章原稿作成の主流がワープロ専用機だった頃、銀英サークルをやっていた友人の友人が本を作るというので、頁数の穴埋めの為に一作進呈することになりました。
・・・が、方向性としてはシリアスな赤×金サークルだった為、私のギャグ小説(なんて代物ではない駄文)は、雰囲気に合わず、お蔵入りとなりました。
確か、2DDのフロッピーディスクに保存していて、探せば出てくるかもしれませんが、肝心の本体が、今は亡きNECの文豪mini7Hだったので、もう再生不可能でしょう。

この没になった駄文以外にも何作か書き溜めたものがあったのですが、全て原作を茶化したギャグばかりで、当時はそういうのしか思いつきませんでした。(今でも思いつくネタの傾向としてはあまり変わらないですが)
そんな私が、今回大真面目にシリアスなIFものを書き始めたのですが、果たして途中からギャグ化せず、最後までシリアスで通せるか、すごく不安だったりしてます。

お蔵入りした作品の内容は、「実はあの『銀河英雄伝説』は、ぜ~~~んぶ、ラインハルト・ミューゼル君という25歳の容姿は十人並み以下の冴えないヲタク青年が見ていた夢だった」というものです。
丁度、「ドラえもんの最終回」や、「サザエさんの最終回」の都市伝説が出回った時期でした。

冒頭、ラインハルトの臨終シーンの「夢を見ていました。姉上・・・」という台詞から、いきなり現実に戻るという書き出しだったと記憶しています。
現実世界は、帝国も同盟もなく銀河連邦がずっと続いている平和で退屈な未来社会で、ラインハルト君は、三流大学を浪人&留年した彼女いない歴25年の小説家志望のヲタク大学生という設定です。
家が貧乏なのは妄想世界と同じですが、のんだくれの甲斐性なし親父は健在で、母親代わりの美人とは言い難い嫁き遅れの姉に、毎日どやしつけられています。
宿命のライバルたる魔術師も、美しい伯爵令嬢も疾風ウォルフも金銀妖瞳も全て彼の妄想の中の人物でした。
現実にいるのは、彼の唯一の友人であり、ヲタク仲間でもある隣家に住む図体ばかり大きい、やはり冴えない容姿のキルヒアイス君だけ。

彼は、自分で見た夢に感動し、自分自身が絶世の美男子で、宇宙を征服するという物語を一気に書き上げて、大人が読むことを想定した「歴史大河小説」として大手出版社に売り込みます。
しかし、自信を持って持ち込んだものの、どこの出版社でも酷評されて、相手にされません。
何件目かで「ジャンルが違う」とアドバイスされ、渋々若者向けの「SF小説」に格下げして再度売り込みますが、それでも酷評され続けます。
次第にテンションが下がり、自信を失いかけますが、ひたすら優しい親友のキルヒアイス君に励まされ、めげずに持ち込み先の出版社の規模をどんどん落としながら売り込みを続けます。
50件目くらいで、やっと、ある女社長(モデルは銀英サークルの主催者)が編集長を兼ねる小さな出版社が、条件付で出版契約を結んでもいいと言ってくれます。
その条件とは、ある特定の趣味の女性を対象とした新しいジャンル(早い話がやおい)向けに、主人公のラインハルトくんと、親友のキルヒアイス君の関係を書き直すというものでした。
ついでに、双璧の二人と、ヤンとアッテンボローもそのように書き直してくれたら、もっと好条件で契約してもいいとも。
高尚な文学作品を目指していたラインハルト君は、悩みます。
何より傷ついたのは女社長の「書き直すと言ってもそんなに手を加える必要はない。そのままで充分そっちの関係に読めるから」という言葉でした。
しかし、家に帰るとバカ親父の酒代のツケが貯まって破産状態なことを知り、姉に懇願された末、女社長の条件をのむことに決めます。
かくて、史上空前のスケールのヤオイ小説「銀河英雄伝説」が出版され、大ベストセラーとなります。
ラインハルト君は、文学史上最高にして最初の男性ヤオイ作家として富と名声を手に入れるのでした。
しかし、高尚な歴史文学の大家を目指していた彼は、非常に複雑なのでした。

タイトルも確か「銀河やおい伝説」とかつけたと思います。
このように非常に下らない内容でしたが、丁度、友人達と「銀英伝ってSFなの?」「違うよスペースオペラ」「どっちも違う、しいて言えば架空歴史小説」「ええー??やおいネタ提供小説じゃないの?」などというバカ話をしていて思いついたネタだったと記憶してます。

その他の短編も、みんなこんな感じのギャグ的駄文ばっかりで、当時の私を知っている同人仲間に、「今、銀英熱が再燃して、今度ネットにシリアスな二次小説を発表する」とメールしたら、一斉に「それって、念願のヨブ×ヤンなの?」と訊かれました。
違うってーーーーーー!!!

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