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ヨブ×ヤンの異色カップリングは受けるか?

いきなり腐臭が漂うお題で恐縮です。
銀英の解釈は、十人十色で時として原作者の意思に反するのを承知の上の解釈で二次創作を書いてる人も多い。
♂×♂の所謂BLとか801とかも読者の独自の妄想的解釈なわけで、ならば、原作の行間を読み込めば、今日のお題のようなカップリングもOKなのでは?と思った次第です。
・・・いえ、グロいしエロいし、見たくないし・・・と仰る方がいるのは承知しております。

原作第2巻の記述引用
歴史を見ても、動乱時代の人間というものはそういうものだ。それでなくては生きていけないし、状況判断と柔軟性という表現をすれば、非難することもない。むしろ、不動の信念などというしろもののほうが、往々にして他人や社会に害を与えることが多いのである。(中略)
信念といえば、ヤンは、「必勝の信念」などという台詞をきくと、鳥肌がたつのである。
「信念で勝てるのなら、これほど楽なことはない。誰だって勝ちたいんだから」
ヤンはそう思っている。彼に言わせれば、信念とは願望の強力なものにすぎず、なんら客観的な根拠を持つものではない。それが強まれば強まるほど、視野はせまくなり、正確な判断や洞察が不可能になる。だいたい信念などというのは恥ずかしい言葉で、辞書にのってさえいればよく、口にだして言うものではない。

原作第6巻のヤンの台詞引用
「信念とは、過ちや愚考を正当化する化粧であるにすぎない。化粧が厚いほど、その下の顔は醜い」
「信念の為に人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等なことである。なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないからである」
なおもヤンに言わせれば、信念の人などという存在ほど有害なものはない、(中略)“信念”などという言葉を他人が一回使うごとに、ヤンはその人物に対する評価を一割づつ下げていくのだった。

辞書を引くと
【信念】
ある事柄についてもたれる確固として動揺しない認識ないし考え

以上の記述から、ヤンは、「信念は持たない方が望ましい」「信念のない人間の方が好ましい」「信念のない人間が理想的」と言っているようである。(そうとしか読めません)
つまり、「確固として動揺しない認識」の上で行動するよりも、その場その場の状況に合わせて自分の立場を変えていく生き方が人間として好ましいのだと。(そうとしか読めません)
そこで、考えて見ました。
銀英伝の作中最もこの行動原則に忠実に生きたキャラは誰であろうかと。
そう、かのヨブ・トリューニヒト氏である。
つまり、ヤンは、「政治家なんて嫌い」という昔からの自分の嗜好に拘るあまり、本当はヨブさんのことが好きなのにその気持ちに気づかず悪口言って避けてたという、エルフリーデに勝るとも劣らないツンデレキャラであったのだ。
故に、「やっと自分の気持ちに素直になれたヤン」と「戸惑いながらそれを受け入れるヨブ」というラブラブなお話しだって書けちゃうじゃないか?

まあ、冗談はこのくらいにして、ヤン閣下。
あなたが紅茶のカップを握り潰してその死を悼んだビュコック爺さんは、帝国軍の降伏勧告を拒否して「民主主義に乾杯!」と言って散っていったんですよ。これを“信念”と呼ばずしてなんと言うのでしょうか。
更に、あなたがいつも高く評価しているラインハルト陛下こそ、「宇宙の統一」を絶対的な信念に持って行動する人ではないのですか。
そして最期にあなた自身が何よりも「最悪の民主主義は最良の専制政治に勝る」という“信念”があったからこそ、敵味方多くの血を流してまで戦ったのではないのですか?
本当にあなたの仰るように、「信念など持たない方がいい」とお考えなら、命がけの抵抗などせず、もっと「状況判断と柔軟性で」さっさと帝国に出頭して、ラインハルト陛下に地位と生活を安堵してもらった方がよかったのではないですか?
それが一番あなたの言行に適っていますよ。

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コメント一覧

まこりん URL 2009年08月04日(火)12時51分 編集・削除

こんにちは。
遅くなりましたが、リンク貼らさせていただきました。
昨日から少しづつエントリーを拝見させていただいてますが、鋭いツッコミに思わず何度も膝を打ちましたよ。
作者がなぜ「信念」を毛嫌いするのかといえば、70年代に全盛を誇ったスポコン物に色濃い「精神主義」への反発が根底にあるような気がしますね。
が、登場人物が全員揃って自らの利益を追い求めて行動したんじゃシュブナイルにならないので、結局、言っていることとやっていることが違うということにw
それから、お願いがあります。コメント欄は(技術的に)書きづらいので、近々自分のブログの方に感想を書きたいと思っているのですが、許可をいただけますでしょうか。

Jeri 2009年08月04日(火)14時20分 編集・削除

まこりんさん
コメントありがとうございます。
こんな不遜なブログでよろしければ、感想でもなんでも書いてやって下さいませ。嬉しいです。

<70年代スポコン物
なるほど。言われてみれば、作者の青春時代と重なりますね。それならば、ヤンの政治家嫌いも、銀英執筆当時の日本の政界(政治家は、爺でハゲでチビでかっこ悪い→かっこ悪い政治家と仲良くするなんて、ヒーローのすることではない)という論法で説明できるような気がしますww
田中さんって、想像力ってものがないのか、わざと働かせないのか知りませんが、銀英って、1700年も未来の話しのはずなのに、未来らしい想像力が生活レベルで殆ど反映されてないんですよね。結婚したら当たり前のように退職する予定でいたジェシカとか、仕事をしても、女性は男性のアシスタントとか。「女には独創性はない」と断じられているようで、不愉快なのです。
でも銀英ファンです。信じて・・・