あんまり肩がこったので、近くに新しくできたという整骨院に行ってみた。
近所に高校や箱根駅伝の常連大学の合宿所があるせいか、腰を痛めた年配者よりもスポーツやっている若者の客(患者?)が多いところだった。
「何をしてらっしゃるんですか?」
若いお兄ちゃんの整体師が聞く。
「え?あの・・・主婦ですが・・・」
お兄ちゃん、ちょっと戸惑って
「あ、いえ、何のスポーツをやっていらっしゃるのかと思いまして。それによってよく使う筋肉とか・・・」
どうやら兄ちゃん、私の凝り固まった脂肪をスポーツで鍛えた硬い筋肉と勘違いしているらしい。
が、このネタでただで起きるのはもったいない。
「えーー?私を知らないのぉ~?そーよねー、考えて見ればアトランタオリンピックからもう20年だものねー」
もちろん、大嘘。
「あ、す、すみません。僕、そっちの方疎くて・・・そういえば、テレビでお見かけしたことがあったような・・・」
おいおい。そこまで迎合するなよ。
「いいのよ。今の若い人が知らないのは当たり前よ」
調子に乗って鷹揚に答える。
兄ちゃん恐縮して、何の競技か聞かなかった。
聞かれたら、何と答えようか、一瞬考えた。
流石に「新体操」と言うほど図々しくはなれない。
バレーボールでは身長が足りないし、マラソンでは脂肪が多すぎるし。
思案の末、一般に殆ど選手の名前なんて知られていないマイナーな競技、重量挙げとか馬術とかなら暫く誤魔化せるんじゃないかと考えた。
「色紙を用意しておきますので、今度いらした時、お願いします。」
兄ちゃんは、本気とも社交辞令ともつかずにそんなことを言ってくれた。
私は笑って曖昧に頷くと、内心、これで暫く遊べると思った。
因みに、Jeriは、オリンピック選手どころか、運動そのものを全くやらない運動音痴である。
サインの練習しとくべきか、その前に冗談だったとゲロするか、今度行く時までに決めとこうっと。