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勝手に妄想モード・・・シルバーベルヒ

性懲りも無くまた語ります。

コメント欄にともともさんがお書き下さったように、どうも田中センセは、魅力的なキャラを作り出すことには長けていても、そのキャラを最期まで動かしきれないという残念な特徴があるようです。少なくとも銀英執筆当時は。
で、動かしきれず持て余されたキャラの殆どが、作中で死亡という形で片付けられてしまうのは、何とももったいないし、安直に過ぎるように思えるのです。
その筆頭が、どう考えても説得力に欠ける理由で叛逆したロイエンタールですが、目立たないところで、私はシルバーベルヒもそれに近いと思っています。
作中後半、作者は、ラインハルト亡き後のヒルダ政権にとって騒乱の火種になりそうな人物を次々と死亡させていきました。
シルバーベルヒは、天才肌で野心家で、OVA版では、容姿はワイルド系でカッコいいという大変魅力的なキャラでした。
そんなキャラをテロで爆殺などという芸のない殺し方をしたのは、なぜなのか?
作中でもあのテロは、彼を狙ったものではないことになっており、別にあの時死ぬ役は、彼でなくてもよかったはずです。
で、なぜ彼は死ななきゃならんかったのか?それを妄想モードで考えてみました。
それは、もし、彼が生き延びていたら、ラインハルト亡き後の帝国でどのような生き方をしたかにかかっていると思います。
彼は生前言っています。「これからは我等テクノクラートの時代だ」と。そして、将来は帝国宰相の地位を望んでいると。
能力と野心を有する文官である彼は、敵対勢力のなくなったラインハルト死後の帝国で、徐々に軍費を削り、軍縮の方向に動くことは容易に想像できます。
単細胞の軍首脳部も、平和な時代に入っての軍縮は、ある程度は仕方がないことと認めるでしょう。
問題は、軍縮化のスピードです。
シルバーベルヒは、天才型の人間にありがちな独断専行で、元々戦争には反対だったブラッケ等の閣僚達を味方にして軍部を牽制。
軍費と人員の大幅削減を断行し、一気に軍縮を推し進めようと図る。・・・ということが考えられます。
これには流石に波風を立てまいとこれまで我慢してきた軍首脳部も反発。自分達はともかくとして、下からの不満を抑えきれない。
シルバーベルヒにしてみれば、一国に統一されて、敵対勢力の無くなった国に軍隊自体必要ないとすら考えるかもしれません。
艦艇10万隻を有する宇宙海賊でもいれば話は別ですが。
かくて、ローエングラム王朝内では、ラインハルト没後10年もしないうちに、文官と武官との対立が深刻化。クーデターの噂も流れ、一触即発の雰囲気に。
そこで、ヒルダ(若しくはアレク)は、政治の方向性としては正しいと認識する文官派と、ラインハルトの戦友でもあり、建国の功臣でもある軍部との板ばさみとなり、深刻な政治的葛藤に直面することになります。
「葛藤は避ける」のがお約束事の銀英伝で、この状況はいただけません。
かくて、魅力的だけど、生きていれば葛藤の種になりそうなキャラであるシルバーベルヒは、抹殺されることとなったのでした。

妄想にお付き合い下さってありがとうございました。

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