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もしかしたら全然違うのかも

このブログでさんざん作中から読み取れる作者の政治認識とか女性観を語りましたが、あれだけ暴言吐いておきながら、実は心の片隅で「もしかしたら、私の感じたことは全然違うのかも」という思いが頭をもたげつつあるのです。

ネットで銀英関連のサイトを見るようになって驚いたのは、作者の田中氏が、やおいとかBLとかの所謂同性愛ものを嫌っており、自分の作品をそれらのネタにされるのを非常に不快に思っているらしいという情報を複数のサイトで見たことでした。

私は、最初に小説を読んだ二十数年前当時から、全く逆の印象を受けていたので、これは凄く意外でした。
銀英内の描写を私的に解釈すると、どう読み込んでも、ラインハルトはキルヒアイスを一番愛しているとしか思えず、彼が生きてさえいればヒルダなんて必要なくて、結婚などしなかったのではないかと思えたのです。
私としては、ストーリー構成上、ラインハルトはいっそのこと同性愛嗜好者ということにして、だから、宰相の時も皇帝になってからも美女を次々と差し出されても見向きもしなかったのだ、彼にとって、恋愛対象は、あくまでもキルヒアイスただ一人であり、彼亡き後は、生涯不犯で通す・・・というほうが、とってつけたようにヒルダと結婚するよりも、何だか彼のキャラにマッチしているように感じられたのです。
実際、ラインハルトとキルヒアイスの親密なやり取りは、充分に同性愛的関係を連想させますし、彼等だけでなく、ロイエンタールとミッターマイヤーの親密さも、腐女子(という言葉は当時はなかったのですが)の妄想を掻き立てるものでした。
特にロイエンタールは、女ったらしどころか、明らかに女と過ごすよりもミッターマイヤーと酒を酌み交わしている方が幸せそうだし、絶対に女なんかよりもラインハルトの方がずっと好きなように見えます。
だから、私は、作者はわざと主要キャラをこのように描写して、その手の方々(801とかBLとかが好きで読んだり書いたりしている女性達)をファンに取り込んで、同人誌にネタを提供し、売上部数アップを狙っていたのではないかと推測していたのです。

しかし、作者はヤオイとかが大嫌いだそうなので、それが本当だとしたら、私の読みは完全に外れたことになります。

そうなれば、私がブログでさんざん語ってきた女性蔑視の感覚も、全く見当外れか、逆なのかもしれません。
案外、正反対に、本当はすごくフェミニストで女性崇拝者なのかもしれません。

トラックバック一覧

コメント一覧

ともとも 2009年08月09日(日)07時24分 編集・削除

おはようございます。Jeriさん。
私の持っている同人誌でこんなのがあります。

 「ラインハルト・フォン・ミューゼル
  母を早くに亡くせどベタ甘な姉に育てられた一人息  子の末っ子」

 「ジークフリード・キルヒアイス
  正真正銘一人息子なため、相当愛されて育っているは  ず。よって、扱いは末っ子と同等」

 「そんな家庭環境で育った野郎二人が、あんな友人関係  を築くと思えるあたり、
  田中芳樹先生かなりのドリーマーと見た・・・」

 というのです。

 大笑いしちゃいました。

 全編にこういうにおい、漂っていませんか?

冒険風ライダー Eメール URL 2009年08月09日(日)13時59分 編集・削除

 田中芳樹は、自分の作品が同性愛系の二次小説でネタにされることについて、こんな主張を行っています。

ComicBox1988年11月号P53
<───同性愛趣味というのは、女の子のファンの間で大きな影響力がありますね。
田中 その様ですね。はっきり言っちゃうと、男性が女性を暴行する様な場面だったら嫌悪感を示す様な人が、何で男同士だったら耽美だと受け取るのか判らないね。それは、男同士ってことは女性は絶対被害者にならずにすむから、自分だけ安全な所にいてセックスをおもちゃにしてるんじゃないかと思うことがあります。自覚があってやっている訳じゃないんだろうけど、自分の作ったキャラクターを同姓同士のポルノに使われて。自分の子供を強制的にポルノに主演させられて喜ぶ親がいると思っているのでしょうか。著作権どうのこうのというのは非常にイヤなんだけど、少なくとも原作者の所に郵送するなよ、と言いたい(笑)。>

 当の本人がはっきりとこう言っていますので、田中芳樹の同性愛&ポルノ嫌いは確定事項と見做して良いのではないかと。
 むしろ、私が田中芳樹のこの手の主張を読んでいて常に思うのは、「異様なまでに男女平等にこだわる」ということですね。
 田中芳樹読本でもこんなことを言っていますし↓

田中芳樹読本 P91
<――:
 もう一つ、明るく元気な女性というのも非常に多いですね。
田中:
 そうですね。やっぱり書く側としては、元気な方が書きやすいですけどね。やっぱりどうも、ウジウジされるとイライラしてくるから(笑)。
――:
 そのへんは、女性観も出てるんでしょうか。
田中:
 うーん、そのへんはなかなか厳しい。現実には女房張り倒すと、百倍にして返されるから(笑)。でも、そうだな、これはもう人それぞれの好みで、すごくおしとやかな女性しか出さない人もいますよね。だからもう、僕は元気な方だけ出してるタイプということでいいんだけども。いろいろ書いてみて、男と女が戦友同士で、一緒に共通の敵と戦っていって、どっちがどっちをリードするという形でなくて危険を乗り越えてゆくようなものが、好きかもしれないですね。現実にはどうかともかくとして(笑)。お話としてはそういうのが好きなんじゃないかなぁと、ちょっと自分で思ってるんですけど。>

 実際、銀英伝の「ヤン=フレデリカ」および「ラインハルト=ヒルダ」の関係もこの方針に沿って描かれていますし、他の作品でも同様の傾向はよく見られますから、まあ自分の認識について間違ったことは言っていないのではないかと。
 ただ、これが高じた挙句にキング・コングや薬師寺シリーズの女性描写問題に繋がっていくのがねぇ……(>_<)。

Jeri Eメール URL 2009年08月09日(日)23時06分 編集・削除

>ともとも様
漂いまくってますね。(笑)

「オスカー・フォン・ロイエンタール
両親を早くに亡くせど忠実な使用人達に大切に育てられた一人息子のお坊ちゃま」

「ウォルフガング・ミッターマイヤー
正真正銘一人息子なため、相当愛されて育っているは ず。よって、扱いはお坊ちゃまと同等」

「そんな家庭環境で育った野郎二人が、あんな友人関係を築くと思えるあたり、田中芳樹先生かなりのドリーマーと見た・・・」


>冒険風ライダー様
貴重な情報源ありがとうございます。
とても興味深いです。

「異常なまでのこだわり」は、それと反対の思想を持っていることの裏返し・・・と思えてしまうのは、捻くれてるでしょうかね?(笑)