福岡県町村会の汚職事件で贈賄罪に問われた添田町の山本文男町長(84)=公判中=のリコール(解職請求)に関連し、町保有個人情報の目的外使用があったとされる問題で、調査特別委員会(百条委)を設置して調べてきた町議会は20日、町長の後援会幹部3人を地方自治法違反(証言拒否など)の疑いで刑事告発することを決めた。また、山本町長の辞職願に同意し、山本氏は同日付で辞職した。
個人情報の目的外使用は、町長の後援会などがリコール反対の文書を郵送した際に使ったとされ、調査で町幹部が選挙人名簿を複写したことが判明。この日の臨時町議会で田中正委員長が「委員会の調査を不当に妨げた疑いが極めて強い」と報告し、百条委での証言を拒否するなどした後援会幹部を全会一致で刑事告発相当とした。
流出の経緯解明には至らなかったが、流出についても20日、住民基本台帳法違反の疑いなどで氏名不詳のまま議員有志6人が刑事告発する。
また、2009年10月に町の宿泊研修施設「アドベンチャーセンター・森の家」に町長の親族が経営する病院の中古ボイラーを移設したとされる問題も取り上げられ、「新品だと約130万円で済むのに移設費などで約35万円余計にかかった。中古ボイラーを処分したいがための背任行為」と報告された。この件に関しても、議員有志6人が20日、背任の疑いで山本氏を刑事告発することを申し合わせた。
議員有志が背任容疑で告発することについて、山本氏は町を通じて「法的に違反することはなく告発が受理されるようであれば誠に遺憾。議員及び過剰報道した者に対し、名誉棄損を含め法的手段も検討したい」との談話を出した。
=2010/07/20付 西日本新聞夕刊=