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2008年3月 5日 (水)

政財界と闇社会の社交場、TSKビル解体進む

東証2部上場の不動産会社「スルガコーポレーション」がオフィスビルの立ち退き交渉を多額の報酬を支払って暴力団山口組関連の地上げ屋にさせていた。このニュース自体は、上場会社の劣化したモラルと、弁護士法違反で逮捕された地上げ屋の悪辣さを問うもので、さほど珍しくはない。

僕が注目したのは読売新聞がこのニュースに関連して取り上げた六本木の通称「TSKビル」である。ここにも彼ら地上げ屋がからんでいたというのだが、実はこのビルの正体は、日本の戦後における、政財界と闇社会の結びつきを象徴する、とんでもない、いわくつきの物件なのである。

1973年7月、六本木交差点から歩いて1分ほどのところに、6棟のビルがたち並ぶこの巨大な施設は誕生した。戦後、、暴力団組織「東声会」を率い、娯楽産業の大立者にのしあがった町井久之が設立した高級会員制クラブハウスである。

ロバート・ホワイティング著「東京アンダーワールド」から、その華々しい開館を再現してみよう。

磨きぬかれたイタリア製大理石を配した6階建ての殿堂は「東京一エレガントな建物」と世に謳われた。延べ1万坪の館内にはあらゆる娯楽施設がそろっている。キャバレー、ディスコ、各種高級レストラン、宴会場、結婚式場、プライベートラウンジ、麻雀室、サウナ風呂・・・。

オープニングセレモニーでは、冒頭の挨拶で東京弁護士会会長が町井を「礼儀をわきまえた敏腕実業家」と絶賛。三越、西武百貨店、東急電鉄の社長をはじめ、読売新聞の渡辺恒雄とおぼしき人物の姿もある。乾杯の音頭はギリシャ大使がつとめた。

町井の兄貴分であり顧問格は戦後日本のフィクサー、児玉誉士夫である。自民党の前身、自由党結党時に資金を提供したことや、CIA資金を自民党や反共グループに流していたことでも知られる。ロッキード事件では、防衛庁がらみの「児玉ルート」が解明されないまま、その死とともに闇に葬られた。

TSKビルはその後30年のときを経て様変わりし、平成十四年に町井が亡くなったあとは、六本木の一等地約3800平方メートルでひと儲けをたくらむ金融業者、地上げ屋、暴力団関係者らが跳梁跋扈。所有権が複雑化し、居座りで不当に賃借権をつけられた部屋も目立ってきた。スルガコーポレーションにからんだ地上げ屋も、この物件の一部屋の転売で利益をあげたようだ。

ちなみに、読売新聞によると、元公安調査庁長官、緒方重威被告(朝鮮総連本部売却をめぐる詐欺事件で公判中)らも転売による儲けをもくろんでいたという。

TSKビルは外資系の不動産会社が06年7月、約252億円で落札、現在、再開発のため解体工事が進められている。

クレーンの音が響き、瓦礫だけが残る「夢の跡」は、戦後の高度成長期、東京の夜の街を彩った表と裏の紳士たちの記憶とともに消え去っていく。

                              (敬称略)

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コメント

初めまして・・・
クレイジーな爺さん・・・
いい響きです・・
又あすびにきます・・・
TSK ccc
昭和の城だと思います・・・
町井親分万歳です・・・。

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