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【大相撲】

白鵬46連勝、単独3位 きょう3場所連続全勝V決める

2010年7月25日 紙面から

46連勝、3場所連続15度目の優勝を決め笑顔でファンにサインする白鵬=愛知県体育館で

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◇名古屋場所14日目

 2敗で逆転優勝の可能性を残していた平幕豊真将が3敗目を喫したため、横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が3場所連続15度目の優勝を決めた。白鵬は大関日馬富士を右すくい投げで退けて全勝を守り、連勝は昭和以降で大鵬を抜いて単独3位の46に伸びた。琴欧洲と把瑠都の大関対決は琴欧洲が寄り切りで勝って10勝目。把瑠都は8勝6敗で、日馬富士は9勝5敗。関脇稀勢の里は連敗を5で止め7勝7敗とした。

 異例の場所の、異例の“美しい”光景だった。白鵬は愛知県体育館を引き揚げる時、横綱の帰りを待ち構えていた約400人の観客の前に歩み出た。いつもは出口に横付けされた車にすぐ乗り込むため、ファンは50メートルほど離れた場所から遠目で見守るだけ。夕空の下、3場所連続15回目の優勝を遂げた横綱は、ゆっくりと手を振り続けた。

 ファンに支えられた名古屋場所だった。「一番うれしいのは、来てくれたお客さんが応援してくれたこと」。テレビ中継は中止され、土俵外ばかりが注目され、批判された。自身も軽微な花札賭博をしたことで容赦ないバッシングを受けた。国技である大相撲のトップにいることに、人一倍の誇りを持つ横綱にとって、耐え難い状況だった。

 その中でも会場の観客に、横綱らしさを見せることを使命とした。この日もすでに優勝が決まったにもかかわらず、日馬富士を右四つ十分の態勢から、最後はすくい投げの万全な相撲で下した。「体と心を一つにして集中できたと思う」。輪島を抜く15回目の優勝と、大鵬を抜く46連勝。尊敬する2人の先輩の記録を抜き、胸を張ったが「精神的にどうだった?」の問いには「いいわけないじゃん」と本音を漏らした。

 優勝後も異例ずくめだ。この日の部屋での万歳三唱は自粛。千秋楽の表彰式も賜杯授与や賞品贈呈は一切なく、優勝旗の贈呈だけ。支度部屋で行う賜杯を持っての万歳三唱もない予定だ。「やることはやったのに、もらえるものがもらえないのは残念」と無念さを見せた。

 「賜杯はどうにかならない? 優勝しても変な気持ちだろうな。もし初優勝だったらどんな気持ちになるんだろう。寂しいね」と三たび嘆いた。むなしさが消えない15度目の優勝。だがファンのためにも、千秋楽は15日制初の3場所連続全勝優勝で決めてみせる。 (田中一正)

 

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