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火災:核燃料サイクル工学研究所の燃料開発室で 「窒化物」容器のふた外れ /茨城

 23日午前9時53分ごろ、日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所(東海村)の核燃料を試作するための「プルトニウム燃料第1開発室」で、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の一種「窒化物燃料」が入ったステンレス合金製の容器(直径、高さとも15センチ)のふたが外れ、火災が発生した。

 作業員が119番通報するとともに、室内に設置された金属消火剤などを使って消火作業を行い、約1時間後に鎮火した。

 原子力機構によると、現場近くにいた3人の作業員の健康や外部環境への影響はないという。

 同研究所では今年3月にも装置の電源部で焦げ跡が見つかり、近隣市町村の議会から安全対策強化を求める抗議を受けたばかり。

 機構によると、この日は、来月末に予定されているIAEA(国際原子力機関)と国による査察の準備作業中だった。作業員は「グローブボックス」という気密性の高い作業台5台の内部で、窒化物燃料入り容器を移動させる作業をしていた。作業員はボックスに開いた穴から腕を通し、手袋越しに核燃料の操作をしているが、作業員が気付いた時にはボックス内で容器のふたが外れ倒れており、中から火が上がっていたという。

 容器のふたにはストッパーが3カ所付いており、力を加えなければ開かない仕組みになっているほか、容器内には窒化物燃料が入ったプラスチック製の小瓶2本が収納されていた。

 機構は「出火原因は調査中だが、小瓶に入った燃料から漏れた放射性ガスが発火した可能性などあらゆる原因を考えたい」としている。

 機構は今後10日間以内に、国、県、東海村に原因と対策をまとめた報告書を提出する。【大久保陽一】

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 ■発表の現場から

 ◇迅速、正確情報を

 火災の一報が機構から県に伝わったのは発生から17分後の午前10時10分。「やればできるじゃないか」というのが率直な感想だ。

 福井支局に勤務していた08年、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)でナトリウムが漏れたという警報が誤作動するトラブルが頻発した。機構が福井県に連絡したのは発生から約3時間後とあまりに遅すぎたケースもあり、機構への風当たりがさらに強まった。それに比べれば、速やかに通報しようという姿勢は評価できる。

 ただ、午後0時10分から約50分間にわたって行われた機構の会見は、事故の詳細に関する質問には答えられず、準備不足が目立った。機構は即答できなかった8項目の質問に夕方、書面で回答した。

 情報把握途中でも会見は必要であり、速報と正確な情報の両立は難しいのは確かだ。しかし今回は、現場を直接知る職員との意思疎通を欠いたまま会見に臨んだという印象をぬぐえない。迅速かつ正確な情報を心掛けてほしい。【大久保陽一】

毎日新聞 2010年7月24日 地方版

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