JASMINE インタビュー [POWER PUSH!(2)]

これまで発表された5枚のシングルには、単にジャケットの色というだけでなく、メロディ的にも、サウンド的にも、ボーカル的にも、5色のJASMINEが存在して。常にギリギリの本気で挑むものだから、一色一色がギラギラに濃厚で、一見、猛烈にバラッバラに思えて。
しかしデビューから1年、ついに到着した1stアルバム『GOLD』は、その点在する5色を単につなぐものではなかった。もっと鮮やかに、もっと立体的に、もっと大胆に、才能溢れるアーティスト・JASMINEを描き出す。そしてその歌声からは、繊細で、弱虫で、負けず嫌いで、強情っぱりな、ごくごく普通の21歳の女の子が浮かび上がってくる。アンバランスだが、とても正直で美しい作品だと思う。
■今は待っててくれる人がいるから、曲を作ってる

So-net Music(以下So-net):初の全国ツアー、お疲れさまです。最終日のZEPP TOKYOのステージ、しかと拝見しました。

JASMINE:ありがとうございます! 今回はあの、自分のファンの人たちを初めて見たので、びっくりしました。

So-net:あぁ、MCでも言ってたよね。ブログのコメントも含めて、スタッフの壮大などっきりかと思ってたって。

JASMINE:そうなんですよ。しかもその反応にもビックリで。出て行った瞬間、キャー!! みたいなことを言うから。

So-net:そりゃあ憧れのアーティストが目の前に現れたら、キャーでしょ。

JASMINE:私は言わないなぁとか思って。いや、すごい好きだったら言いますけど、「キャー」はなかなか……。

So-net:だぁかぁらぁ、すっごく好きなんだって。

JASMINE:そっか(照笑)。けどどうしても自分のこととは思えなくて。初日の北海道はまったく実感が沸かないまま、私、どんなふうにここにいればいいの?!って、すっごく迷いました。終演後にスタッフに、来てくれた人の目をちゃんと見ろって言われて。そこで、あぁ、お客さんを見るんだって気づいて。そしたら次の会場では、みんなが作ってきてくれたパネルの字をつい読んじゃったりして。それで歌詞がぶっ飛んで、ヤバい!みたいな。そうやってちょっとずつ慣れていって、うん、ちょっとずつ受け止められるようになりましたね。

So-net:聴き手の存在を実感したり、伝わってることが体感できると、どう?

JASMINE:何がどう変わったかはうまく説明できないんですけど、私の中に確かに残ったっていうか、なんか責任を感じました。こんなにいっぱいの人を背負ってるんだっていう。

So-net:それは負担ではないのかな?

JASMINE:喜びですね。もしかしたらいつか重みに感じるかもしれないけど、まぁ全部含めて責任感じた、みたいな。

So-net:では、好きって気持ちから始まった音楽の道に責任がプラスされると、生まれる曲に変化は起こるんだろうか?

JASMINE:まず妥協がなくなりますよね。自己満足でいいなら突っ走ればいいし、好き嫌いの感覚だけなら、それは趣味じゃないですか。けど待っててくれる人がいるから、曲を作るっていう想いが今の私にはあるし。正直、今回のアルバム制作は時間がなかったんですよ。多分、デビュー前の自分なら作れなかっただろうし、デビュー直後でも「こんな短期間で何ができる!」ってキレてたと思う。でももうそんなヒマはない。自分の欲望で、余裕がほしいなんて言ってる場合じゃないぞ、っていうのはあります。

■聴いた人の人生にしっかり食い込むアルバム『GOLD』

So-net:うんうんうん。ライブを観ていても、1stアルバム『GOLD』を聴いても、すごくこう、歌うこと、そして音楽と生きて行く覚悟を感じるもんね。

JASMINE:そうですね。アルバムはもう聴いた人の人生にしっかり食い込みたいというか、他人事じゃない作品にしたくて。聴いた人の手の上にあるパレットになるようにっていうイメージだったので。最初、タイトルは“虹”かなぁと思ってたんですよ。でも想像してみたら、虹色はヘンだったんです、ビジュアルも含めて(笑)。かと言って、最近黒っぽいのが多いし……って考えて、結局、金になっちゃいました。金は大切な色なので。ほら、保育園の頃ってみんな、金色を大事にしたじゃないですか、折り紙でも。

So-net:あぁ。一枚しか入ってない上に、キラキラしてて、似た色がないから。

JASMINE:そう。あの感覚で金です。みんなが最後まで残す金色。でも大切にし過ぎて、途中でなくしちゃったりするんですよね。うん。だから『GOLD』。

So-net:了解です(笑)。しかしシングル5枚で覚悟してたつもりだったけど、想像を遥かに超えるバラエティ。しかも収録曲すべてがシングル曲級の威力。ちょっとびっくりしたな。

JASMINE:フフフ。もうアスリートか!くらいな感じです。ギリギリまで頑張っちゃってます。でも今回は“私”を完成させたかったから。その時点でできてる曲を思い返しては、全体のバランスを見て、足りないものは何だ?って。私の中にいるキャラで、目立ってるのにまだ出てないの誰?お前か、出て来い。はいぃぃ、みたいな。

So-net:でも前回のインタビューでは、自分のモーレツな気分屋具合に、自分で戸惑ってるって話してたじゃない?
※前回(2010年3月3日UP)のインタビューは こちら>>


JASMINE:もぉぉ、ホントにそうなんですけど。あの時、「同じ人のいろんな表情に感じるから大丈夫だ」って言われたじゃないですか。その言葉で私、励まされたんです。すごい心配だったんですよ。アルバムを作るという目標の中で、これからいろんな自分を出して行くけど、それってどんどんどんどん迷って行くってことなのかなぁと思ってて。でもああやって言ってもらって、あっ、全然気にすることないやって思えて。

So-net:ホントに。それはアルバム聴いて確信した。新しい曲が届くたびに、隙間の感情が埋められて、JASMINEって人が鮮明になっていくんだなって。

JASMINE:良かったぁ。

■ホントの本音の言葉は、下唇の内側の感触!?

So-net:ただ自分の奥の方の気持ちをメロディにして、言葉を乗せる。その作業は相当大変じゃないですか?

JASMINE:大変です。けど出産と同じじゃないですかね。生む時は辛いけど、生まれたら喜びの方が強くて、かわいくて、大変だった想いは絵として頭の中に残ってるだけ。苦労は忘れちゃいますね。だからまたがんばります。って、出産したことないけど。ハハハハハ。

So-net:そういう労力だけじゃなくて。JASMINEの曲は、普段は気づいてもやり過ごせる、むしろ通り過ぎたいこととも向き合っているから、こう、精神的な摩擦もあるんじゃないかなって。

JASMINE:そういうふうにしたがってると思います。自分の本音っていうのが真ん中にあって、でも生きていくうちにそこにどんどんフタを乗っけてて。だから歌詞を書く時には本音に届くまでフタを開け続ける。いっぱい字を書いて書いて書いて、とにかくたどり着くまで書く。ホントの言葉ってね、これだ!っていう時って、なんか下唇の内側の、このプニュプニュした感触がするんですよ。

So-net:まさに粘膜の柔らかさ(笑)。

JASMINE:あっ、これこれ!みたいな。そういう言葉だけを選んで書いてる。ただ普段サラッと流しちゃってることをフタの奥から見つけ出すのはまだ良くて。自分が流して捨てた想いを引き戻すのがキツかったりします。

So-net:それも掘り出して歌うことで、少しラクになれたりするのかしら?

JASMINE:それはあるかな、うん。この感じなに?!っていうモヤモヤした想いも、なかったことにしちゃおうじゃなくて、なんだなんだ?って直視すると、解決できるというか、少なくとも一歩進んだ!みたいな感じになります。

■自分探しの曲作りは、苦しいけど楽しい。歌うのはすっごく楽しい(ニッコリ)

So-net:挙げればキリないんだけど、Zeppで生で聴いた時から刺さりっぱなしの「dear my friend 」について聞かせてもらえますか?

JASMINE:ハイ(笑)。元気かなぁ?と思ってる友達がいて。最近、声聞いてないし、電話かけようかなって思ったんです。でも速攻電話するのは止めて、この曲を書き始めたみたいな。

So-net:電話する代わりにできた曲?

JASMINE:そう。私がデビューするのと同時期に、そのコも「これをずっとやっていく」って言ってて、お互いがんばろうねって話してたんです。けど前に電話した時に、ちょっとへこんでるっていうか、「最近あんま仕事行ってないんだぁ」みたいなことを聞いて。なんでやねん!と思ったりして。昔なら、毎日一緒にいた頃だったら、超キレただろうけど、もうできないなぁ。じゃあどういう言い方がいいのかなぁってずっと考えてて。ただ仕事を頑張ってほしいっていうんでもないっていうか。こう、リスペクトする気持ち。尊敬できる友達だからこそ、がんばってる方が、がんばってない姿より好きかな、みたいな歌です。

So-net:ダイレクトな言葉だけど、メロディとサウンドとのマッチングの妙で、よりメッセージがズンッと響いたし、何よりカッチョイイ曲に仕上がってました。

JASMINE:うん。ノリも大事かなって思って、この歌詞は歌いながら書いたんですよ。特に後半は、とにかく言葉をいっぱい出しといて、トラックに合わせて実際に歌いながら作ったんです。

So-net:あぁ。この曲の、直に手渡しされる感じ、胸に突きつけられる感じは、友達に話しかけるみたいに、声に出しながら作ったからだったんだな。

JASMINE:そっかぁ。この曲の歌詞にある“君は 君は”のところはすごく残るみたいで。ライブの後、来てくれた人にやたらと“君は 君は”って言われたのもそれかな。でもこれは感動的感情じゃないので。友達と私の間にずーっと昔からあるもの、テンション、絆みたいなもので……。いや、これも今回やっと表に出せた一面かな。

So-net:そう考えると、JASMINEにとっての楽曲制作は、過去を見つめたり、未来を描いたり、自分探しなのかもね。

JASMINE:そうかもしれない。やっぱり自分のことって知りたいじゃないですか。曲作りはまさに自分を知るすごくいい機会なんですよね。だから苦しいけど、楽しい。歌うことはね、すっごく楽しい(ニッコリ)。

■自分らしくられる場所で、死ぬまで歌っていたい

So-net:じゃあ1stアルバム『GOLD』、今の感触としてはいかがでしょう?

JASMINE:一応パレットはできたかも?! みたいな満足感はあります。でも私の中にはまだまだ色がいっぱいあるんで、次はどうしようかなぁみたいな。ただ、結構先のことは考えてるんですけど、手前のことはこれから埋めて行く感じなので。フフフ。どうなることやら。

So-net:既に見えている結構先のことはどんなものなの?

JASMINE:とりあえず20代でひと山超えたいんですよ。そこでヨシ!ってなれたら、Jazz Barで歌いたいです。

So-net:えーっ、そこ?! そんな先?! あはははは。1曲目の「PRIDE」の歌詞に引っ掛けて、JASMINEの“Amazing stage”について聞く気満々だったんだけど?

JASMINE:Jazz Barです。歌に貫禄を手に入れた暁には、それに見合った場所にいたいですよね。自分らしくいられる場所で、死ぬまで歌ってられたらいいなぁと思うから。最近はその先もね、どうしようかなぁと思ってるんですけど。

So-net:てか、その先の先を考えるより、手前を考えて行った方が……(笑)。

JASMINE:確かに確かに。けどそういう楽しい未来を考えてたら、そこに向けてがんばろうみたいな。奥の方からパワーが途切れずに湧いてくるかなって。

So-net:結局、その間も、その先も、ずっと歌ってることは間違いないんだね。

JASMINE:そうです。死ぬまで歌います。死ぬまでメラッメラしてます。

●Text/山本祥子


JASMINE(ジャスミン)

1989年5月19日生まれ。13歳の時、米軍横田基地の一般解放日にゴスペルクワイアのライブを初体験。すぐさまゴスペルクワイアに入門する。その非凡なヴォーカルは当然のごとくクワイア内でも大評判になり15歳の時、所属クワイアのアメリカ遠征に参加。現地の教会でその声を響かせた。この体験から、ゴスペルを通してブラックミュージックという音楽と出会い、本格的にシンガーになる事を強く決意する。17歳頃より本格的にシンガー活動をスタート。その年齢では考えられない驚異的なヴォーカルパフォーマンスと、10代の気持ち・感情を見事に表現した歌詞ですぐにその名がウワサになり、歌いだしてわずか1年あまりでメジャー契約を結ぶ。2009年6月24日シングル「sad to say」にてメジャーデュー。10月には"NE-YO"全国アリーナツアーでのゲストアクトに大抜擢され、2010年6月に初の全国ワンマンツアーを"完全無料招待"で行った。ライブアクトとして評価も高まる中、デビューから1年を経て遂に7月21日ファーストアルバム『GOLD』をリリース。
本人の作詞作曲で作り出される楽曲群は、ポップスとして驚愕のクオリティーとストリートR&Bのエッセンスが見事に融合し、歌詞の鋭い言葉選びも含め、今までとは全く違う新たな世代の登場を実感させる。

■オフィシャルサイト
http://www.jasmine-world.net/


『GOLD』/JASMINE
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
(収録曲)
PRID/sad to say/L.I.P.S./Jealous/Bad Girl./dear my friend ほか全14曲
※初回限定版には、毎回強烈なインパクトを残し、ヴィジュアルメイクにも定評のあるミュージックビデオ「sad to say」「No More」「This Is Not A Game」「Jealous」「Dreamin'」のこれまでのリリースシングル作品全5曲を収録したDVD付き。
AICL-2149~2150/3,500円(税込)
2010.7.21 ON SALE

『GOLD』/JASMINE
【通常盤】(CD)
(収録曲)
PRID/sad to say/L.I.P.S./Jealous/Bad Girl./dear my friend ほか全14曲
AICL-2151/3,059円(税込)
2010.7.21 ON SALE

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2010-07-20 13:12  nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1) 
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