【事務所報告】桜井淳の東大本郷での問題意識と作業内容(2)
テーマ:ブログ【H21(2009)年度第1回大学院宗教学演習(ユダヤ思想研究)ゼミの感想】
東大大学院人文社会系研究科のH21(2009)年度第1回大学院宗教学演習(ユダヤ思想研究)ゼミが2009年4月10日15:00-16:40に法文一号館2階ゼミ室で開催されるため、当日は、いくつかのスケジュールをこなすことを目的に、午前中に上京しました。
最初に、上野公園で桜を楽しみながらゆっくり散歩、つぎに、すぐとなりの東京国立博物館平成館で開催されていた阿修羅展を楽しみ、その後、入学式が行われていた東京芸大のキャンパスを通り抜けて、思い出の言問通りに出てみました。
その通りは、古い町並みで、通りの両側には、さらに、谷中側の地域には、数多くのよく管理されたこぎれいな大小さまざまな寺があり、小京都といった雰囲気です。落ち着いたその雰囲気がエキゾチックであるためか、都内の施設では、外人観光客に最も人気のある地域のようです。私も殊の外、気に入っており、何も考えることなく、ただ、無心になって、ゆっくり散歩することがあります。
東京芸大前から言問通りをゆっくり西に進み、根津交差点を通り抜けて、14:00頃、最終目的地の東大本郷キャンパスに到着しました。まず、安田講堂前の公園の地下の巨大空間(3階建て建物くらいの大きさの吹き抜き構造)の学生食堂(20人が座れる食卓が21くらいあり、少なくとも約420名が同時に利用できます)でいくぶん遅い昼食を済ませ、ゼミ室へ向かいました。
安田講堂、左側がゼミ室のある法文1号館、
右側が文献調査に利用している宗教学・宗教
史研究室図書室のある法文二号館)
法文一号館は、古い建物ですが、事務部門のある東側半分への入口内部の大きな空間は、改修され、古いホテルのロビーのような雰囲気です。
今回は、第1回ゼミであるため、先生から今年度の目標の説明があり、その後、10名の自己紹介がありました。よくある普通の短い自己紹介ではなく、研究内容と問題意識を十分時間をかけて、ていねいに説明していたことが印象的でした。皆、大変優秀な学生です。博士課程のゼミであるためか、10名のうちのいくつかの研究室から集まった6名は、すでに、博士論文をまとめ中でした。その分野(分野によらず人文社会系はみなそうかもしれませんが)では、博士課程3年間で博士論文をまとめられるのは、話題になるくらい傑出して優秀な学生であって、普通、それプラス、2年か3年くらいかかるようです(修士課程から合計すると7-8年となり、社会科学の分野では、これは標準的な期間で、それも出来のよい上位半分のみであり、残り半数は、予備審査さえ受けさせてもらえないのが現状です)。その意味では総合文化研究科と同じと感じました。私は七番目に自己紹介をしました。
ゼミ後の帰路は、正門から南へ約500mの本郷三丁目交差点までゆっくり歩き、春日通りを東へ約1200m歩き、JR御徒町駅へ、そして、上野を経て、水戸へ。
これまで、何度も通った言問通りと春日通りは、いつもより、距離を感じましたが、それは、急ぐ必要のない旅のためか、意識的にゆっくり歩いたためか、30歳台や40歳台前半の感覚との比較のためか、年齢による足腰の衰えのためか、いつもの時間感覚とは異なっていましたが、新たな旅の出発の日は、実に充実した一日でした。今後は身体に負担にならない範囲で通うことになります。(2009.10以降は地下鉄大江戸線の御徒町駅-本郷三丁目駅間を利用しています。)
【問題意識】
2009年5月22日(金)15:00-17:00、東大本郷キャンパス法文1号館で開催されたユダヤ思想研究ゼミに出席しました。
ゼミ前、いつものように、法文二号館の南にある三四郎池の周りを散歩しました。周囲の森と池は、すり鉢の斜面と底のような形で、平地と20-30mくらいの落差があります。池は、複雑な形状をしていますが、縦横150mくらいの大きさで、意外と浅く、深い森に囲まれ、数十匹の鯉が泳いでおり、錦鯉もいましたが、雑魚は確認できません。池の水は、人工的な流れを作っておらず、自然のままの増減しています。周りは、高低差はありますが、歩きやすい石段になっていて、散歩できるようになっており、キャンパスにいながら深い森に覆われた山奥をハイキングするような感覚に浸れます。山奥の自然そのままといった感じです。意外と大きく感じ、周囲散歩に10分くらいかかります。
新緑期の三四郎池(2)
当日午前、新築された大規模な東大病院の各階内部を詳細に見学しました。約30年前に見た光景とは雲泥の差でした。日本でも世界でも最先端の最大規模の病院。医学部と附属病院の敷地面積は、本郷キャンパスの約三分の一を占め、権力の象徴です。いまは、どこの病院でも事務処理がコンピュータ化され、情報が速く伝わり、診察が効率的に行われていて、いろいろな過程でも、患者の待ち時間が少なくなっています。
ー、2010.5.7追加)
建物、その左側は東大大学院医学研究科建
物)
附属病院だけでなく、新築された総合研究棟(地上14階地下1階、建築施行は大成・鴻池・松村特定建築工事共同企業体)や医学部総合研究棟(地上14階地下2階、建築施行は大成・戸田・辻特定建築工事共同企業体)や理学研究科中央棟(設計者は㈱日建設計、地上14階地下2階、建築施行は鴻池・松村特定建築工事共同企業体)の各階を見学し、最近の建築技術と空間の取り方の昔との相違を実感しました(設計者・施行会社についての情報は「学内ツア事務局」より)。特に安田講堂の背後に見える理学研究科中央棟の建物は立派に感じました。1階にはノーベル賞受賞者の小柴昌俊氏の業績を記念して開設された小柴記念館が設けられていました。特に1階部分の吹き抜け構造の空間の取り方がすばらしいと感じました。
大学院医学研究科施設
が、1950-60年代に建設された古い施設に耐
震補強を施して内部をリフォーム。幅の広い縦
の構造材と斜めの構造材が耐震補強材。内部
は最新施設と変わらない出来栄えです。)
在職中、安藤忠雄教授は、赤門(入口手前わきには、総合図書館前の噴水の両側にそびえるクスノキと同じ樹が植えられていますが、なぜ、クスノキなのか、「学内ツア事務局」に質問しても、的確な回答は、得られませんでした)(独自に調べてみますと、樹木に樟脳の香りがするため、"魔除け"の意味があるようです)と正門の中間位置の塀ぎわに新設された細長い福武ホールの設計をしました(安藤忠雄事務所HPにて確認)が、もし、上記三施設の設計が安藤教授の設計であったならば、もっと高く評価しましたが、そうでなくて、残念です(安藤氏のような建築設計士の守備範囲(概念設計・応力計算含む詳細設計・電気・空調・装飾等)については、一般論としてですが、東大大学院工学研究科建築学専攻の準教授に質問・事実関係の確認)。福武ホールの設計が特にすばらしいとは思えません。高いコンクリートの壁准建物と通路を遮断しているところに特有の考え方が表現されていますが、閉鎖的な印象を与えています(いずれ「安藤忠雄論」をまとめます)。
本郷キャンパス全体の約三割くらいの建物が最先端の建築技術で建設され、キャンパスの光景も歴史ある建物から徐々に変わりつつあると感じました。
構内の大きな建物配置案内板を見て最近の変化に疎かったと反省しています。原子力関係の建物のあるキャンパスは、弥生キャンパス(本郷キャンパスの道路を挟んで北側にある農学部の敷地も弥生キャンパス)でしたが、名前が変わっており、浅野キャンパスになっていました(浅野侯爵邸(浅野長政の子孫か?)があったため)。弥生は地区名でそのままキャンパス名に使われてきました。
ところで、本郷キャンパスには、安田講堂(基本設計は、当時、建築学科の内田祥三教授が担当、築約100年、なお、法文一号館等の統一されたデザインの建物も内田教授の設計、築約90年)の北にあるローソンのコンビニ、附属病院内の一般外来棟にあるコンビニやローソンレストラン、入院棟にあるコンビニやレストラン、附属病院の前にある小さな小さな売店、医学部施設を転用した二階の第二食堂、理学研究科中央棟の1階にあるコーヒー軽食ショップ、安田講堂前の公園の地下にある大きな学生食道、法文二号館地下一階にある食堂、赤門近くにある最近建設された福武ホール内のコーヒー軽食ショップなど、いろいろな施設があり、昔とは様変わりしています。
特別な事情でもない限り、健康上の理由から、あまり食堂を利用せず、いつも、安田講堂わきのローソンのコンビニでミネラルウォーターとサンドイッチを購入しています。
正門___________________________________________________赤門
赤門外のクスノキ___________________________________正門と赤門の間の塀ぎわのクスノキ
正門両側のクスノキ_________________________________総合図書館前のクスノキ
安田講堂と東西方向の銀杏並木_________________総合図書館
法文一号館の中央ゲート(正門から見て左)___法文二号館の中央ゲート(正門から見て右)
下、研究・教育用展示物)
本郷キャンパスは、広く、自身の研究に関係する施設以外、中に入ることもなく、知らないことも多くあります(建築学の視点から調査継続)。改めて本郷キャンパスの隅から隅まで歩いてみると、20歳台に歩いた時よりも、はるかに大きく感じました。その感覚の差は年齢による足腰の弱りのせいでしょう。
2009年6月26日14:00-15:00は東大本郷で「東大宗教学年報」(主に、大学院人文社会系研究科宗教学研究室の修士課程と博士課程の院生の原著論文約10編)と日本宗教学会論文誌「宗教研究」(原著論文約10編のうち3編が院生、残りが大学教員)の文献調査をしました。論文内容は完全に哲学の世界です。H21年度いっぱい文献調査を続け、原著論文の芽を育てます。2009年6月26日15:00-17:00はゼミに出席しました。ゼミ出席は月1回をめやすにしています。
H22(2010)年度は、これまで、5月7日15:00-17:00、6月11日15:00-17:00、7月9日15:00-17:00のゼミに出席しました。本当は、毎週のように、もっと多く出席しなければならないのですが、事情があって、はがゆい思いをしています。