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【橋下府政ウオッチ】なぜ知事は突然「みんなの党」に近づくのか

2010.7.25 18:00
大阪市議生野区補選の当選者と握手する大阪維新の会代表の橋下知事。この後、「みんなの党」をもちあげる発言が増えた =11日夜(飯田英男撮影)大阪市議生野区補選の当選者と握手する大阪維新の会代表の橋下知事。この後、「みんなの党」をもちあげる発言が増えた =11日夜(飯田英男撮影)

 参院選での自身のスタンスについて「国政にはできる限り関与しない。一線を画す」と述べていた橋下徹知事だが、選挙後は一変して「みんなの党」に近づく発言を繰り返している。

 参院選投開票の翌日にあたる12日朝には、「みんなの党の渡辺喜美代表は僕がこうあるべきだと思っていることを進めている。渡辺代表の考えは1から100まで賛成」と持ち上げた。

 また、20日にも自身が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が、来春の統一地方選でみんなの党と相互連携することにも前向きな姿勢を示した。

 参院選の選挙期間中には、大阪選挙区の候補者について知事が感想を問われる場面も何度かあったが、みんなの党が擁立した候補者についてのコメントはほとんどなかった。一転してみんなの党に秋波を送るようになったのは、参院選でみんなの党が10議席を確保して大躍進したという結果と無関係ではないだろう。

 知事選に立候補した際は当時の政権与党だった自民党、公明党から支援を受けたが、昨年8月の衆院選の前後には、今度は政権交代を実現した民主党を持ち上げる発言が増えた。そして今度は、躍進するみんなの党。これだけ国政政党の評価がコロコロと変わると、政策よりも政党の勢いで支持する先を選んでいるように思われるのではないか。

 こうした言動も、知事の政治感覚として計算のうちということなのかもしれない。だが、知事に近い府議の中にも「勝ち馬に乗ろうとしている」という人もいる。賛否はあるが、少なくとも知事は自身の目指す政策を掲げ、地域政党を立ち上げたところだ。あまりに節操がないと思われるのも政党の信用にかかわるのではないだろうか。

 新聞の紙面を通じて、こうした疑問を投げかけたところ、紙面掲載の翌日、橋下知事から、こんな話があった。

 「説明不足もあったので釈明したい。国政でみんなの党を応援することはない。国政政党に肩入れすることはない」

 それでも地方レベルでのみんなの党との連携については「あるかもしれない」と否定せず「大阪維新の会には、自民、民主もいるのでみんなの党の党籍の議員がいてもいい。国政の党籍は関係ない」と述べた。

 つまり、知事は国政と地方は別ものだから、国政のみんなの党を応援することはないが、地方選ならば応援するかもしれないということだろう。

 ただ、参院選の期間中は口をつぐんでいたのに、選挙が終わったとたんに、勢力を伸ばした政党を持ち上げる発言をした点については、この釈明だけでは、よく分からなかった。

 みんなの党は参院選の前後で政策を変更したわけではなかったはずだ。政策本位で、みんなの党との連携を検討するのであれば、参院選前に政策の支持表明をした方がすっきりしたと思う。

 参院選が終わったあとの知事の発言だけをみると、やっぱり「勝ち馬にのった」「すり寄っている」と見る人がいても不思議ではない。(今西和貴)

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大阪市議生野区補選の当選者と握手する大阪維新の会代表の橋下知事。この後、「みんなの党」をもちあげる発言が増えた =11日夜(飯田英男撮影)
記者会見で自民党大阪府連を激しく非難する橋下徹知事。一方で、みんなの党には秋波を送った =20日、大阪府庁(杉村奈々子撮影)

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