“古都のドクターＫ”奈良大付・松田浩３戦連続２ケタ１４Ｋで４強…奈良大会

１４奪三振で完投勝利の快投を見せた奈良大付・松田浩

　◆第９２回全国高校野球選手権　▽奈良大会・準々決勝　奈良大付４―１橿原（２４日・県立橿原球場）古都のドクターＫが、またも奪三振ショーを演じた。奈良大付（奈良）のエース左腕・松田浩幸（３年）が橿原から１４三振を奪い、５安打１失点と快投。３試合連続で２ケタ奪三振をマークし、チームを４強に導いた。

　クールな左腕が少しだけ表情を崩した。完封ペースで迎えた９回。松田浩は３連打で１点失い、なおも２死一、三塁。ここで最後の打者を投ゴロに打ち取ると、左拳を力強く握った。「調子自体は良くなかったが、要所を締められてよかった」と振り返った。

　“古都のドクターＫ”が魅せた。カーブ、スライダーなど多彩な変化球を持っているが「きょう、良かったのはストレート」との言葉通り、伸びのある直球で押しまくった。初回は三振を奪えなかったが、２回以降は毎回の１４Ｋ。「前回はスライダーで三振が取れた。相手も研究していただろうし、今回は真っすぐで」。相手の裏をかくクレバーな投球だった。

　３戦連続２ケタ三振を奪い、２４イニング４１個で、奪三振率は驚異の１５・３７。それでも三振はあくまでおまけ。「打ち取れれば何でもいい」。究極の目標は、全打者に初球で内野ゴロを打たせることだという。

　球の出どころが見にくい投球フォームはソフトバンク・和田と似ているが、理想は杉内だ。「常に８割の力で打ち取ることが大切」という杉内の言葉を野球雑誌で読んで以来、“大人の投球”を目指している。「（杉内の）淡々と投げる姿にあこがれます。ずっと全力投球はできない」と、説明した。

　頂点がはっきりと見えてきた。準決勝の相手は智弁学園。「疲れはあるけれど、あと２つだから大丈夫。智弁学園とやれるだけで幸せ。挑戦者の気持ちで攻めます」と最後まで冷静だった。甲子園切符をつかんだ時、松田浩が感情を爆発させる。

　◆松田浩幸アラカルト

　★生まれとサイズ　１９９３年３月２０日、奈良・大和郡山市生まれ。１７歳。１７６センチ、７２キロ。左投左打。家族は両親、姉。

　★球歴　昭和小２年から「リトルジャイアンツ」で投手兼一塁手として野球を始める。郡山南中で「葛城ボーイズ」に所属。高校では１年夏からベンチ入り。同秋からエース。２年秋に県４強入り。

　★投球　最速１４４キロの直球とスライダー、高速スライダー、カーブ、パーム。３月の関大北陽（大阪）との練習試合で、２４奪三振を記録。

　★癒やし　野球一筋の松田浩にとって、安らぎは２匹のマルチーズ。特にメスのさくら（３歳）とは一緒に寝ることも。

　★進学希望　スカウトが多数視察に訪れ、プロの評価は高かったが、本人は近大への進学を希望している。