【コラム】サムスンほどの会社が…(下)

 非常に憤りを覚えた。「いつか自分も、日本に対してあんな物言いをする日が来るだろう」と思った。それから8年後、東京特派員として、日本についてコメントする立場になった。だが、この5年間、あのときの解説委員のようなコメントはできなかった。ソニーがサムスンとの競争に敗れ、トヨタが大規模リコール問題で苦境にあえいでも、日本は「著作権を無視する非常識な国」にはならなかったからだ。日本は名実共に先進国だと思った。恐らく、13年前に韓国を軽蔑した日本の解説委員を見返すようなコメントは、日本を離れるときまでできないだろう。

 サムスンは、1枚の写真を8万8000ウォン(約6400円)で購入し、5カ月間にわたって、自分たちが撮った写真のように扱った。本紙は写真を撮り、記事を書くために、特派員を2回(四日間)にわたって日本の田舎へ派遣し、写真の被写体となった人に3回も手紙を書いた。交通費や宿泊費だけで91万8000ウォン(約6万6400円)も掛かった。特派員の人件費まで含めると、費用はさらに増える。

 こうしてしつこく問いただすことが、韓国では「みみっちいこと」と思われている。みみっちいと考えるからこそ、サムスンまでもが「単なるミス」で済まそうとする。しかし、著作権とは本来そういうものだ。

 小さな問題を、サムスン全体の問題ととらえ、非難するつもりはない。だが、サムスンは、写真を掲載したあのストーリーを記事にするために、本紙が一体どれだけのお金を払い、どれだけ苦労したのかということを考えてほしい。韓国の新韓銀行は、本紙の記事と同じ内容を参考にするため、写真の被写体となった人物を韓国へ招き、社員に対する講演も依頼した。半導体とスマートフォン(多機能携帯電話端末)だけがサムスンの製品ではないのだ。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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