開城工団:脅迫するも閉鎖に踏み切れない北朝鮮(下)
ところが、韓国の企業関係者が北朝鮮の労働者と昼食を共にしたいと希望したり、間食や支援品を支給したいと思っても、保衛部が妨害するということを労働者が知るようになり、韓国企業に対する認識が良くなる一方、北朝鮮政権に対する不満がむしろ高まっている。
韓国の企業関係者らと接触したり、非公開でほんの少し会っただけでも、保衛部は労働者を尋問し、問題が生じた場合には政治犯として処理している。既に、開城工業団地内で韓国の企業関係者と接触し摘発され、政治犯として罪に問われた人だけでも、数百人を超えるとみられる。
平壌出身のある脱北者は、「北朝鮮が先んじて開城工業団地を閉鎖すれば、労働者はさらに憤りをあらわにするだろう」と語った。いくら南北関係が悪化していても、開城工業団地の韓国側関係者を人質にした場合、北朝鮮政権の不道徳性がさらに浮き彫りになるだけで、体制維持のには役立たないという。
とはいえ北朝鮮は、万一に備え羅津・先鋒経済特区地域を開発し、開城工業団地を代替し得る大規模な工業団地を準備している。
ある在中韓国人は、「最近、羅津に行ってみたが、住民らをみな外部に追い出したり、臨時宿舎に追い込んで、ホテルや工業団地を建設していた」と語った。あちこちで道路を拡張し、工場敷地を確保しているが、外国人の訪問は以前よりさらに難しくなっているという。
北朝鮮当局は、中国などの在外公館を通じ、北朝鮮に対する投資を誘致しているが、中国人の反応は冷淡だ。中国の企業関係者らの間では、「今、北朝鮮に投資するのは狂気の沙汰」という言葉さえ聞かれる。
中断している金剛山観光を代替するために進めている中国人観光客の誘致も、ますます貧弱になっている。北朝鮮は、中国人の北朝鮮観光を活性化するため、6・25戦争(朝鮮戦争)に参加した老兵を招くなど、雰囲気を盛り上げようと必死だ。だが、ある中国人は、「(北朝鮮を旅行する時)まるで罪人のように、写真も撮れないよう統制するのにはあきれた。北朝鮮への観光は、誰にも勧めたくない」と語った。また、中国のある経済人は、「北朝鮮が、同じ民族を相手にできなかったことを、中国を相手にやるといっても、それを信じる中国人はどこにもいない」と語った。
姜哲煥(カン・チョルファン)記者