2010年7月25日6時29分
23日、スイス南部で起きた観光列車「氷河特急」の脱線事故。「まさか、鉄道先進国のスイスで」。国内の鉄道関係者は、列車の途中から脱線した今回の事故に一様に驚く。
スイスの面積は約4万平方キロメートルで、九州とほぼ同じだが、鉄道路線は網の目のように張り巡らされている。総延長は、約3千キロの国鉄と約2200キロの私鉄を合わせて約5200キロ。九州の約2倍ある。日本とスイスの鉄道関係者同士の交流はほとんどないというが、スイスの鉄道は日本より20年長い約160年の歴史を誇り、日本の関係者が一目置く存在だ。
「スイス人の国民性からか、欧州の中では珍しく、ダイヤが正確」と話すのは現地で鉄道に乗った経験のあるJR東日本の社員。鉄道会社をまたがる相互乗り入れも日本並みに発達しており、遅れはほとんどみられないという。
技術系のJR幹部は「スイスでの大きな鉄道事故は聞いたことがなく、保守管理面でもレベルが高いという印象がある。厳しい自然の中を走らせるのは技術がないと無理」と話す。「『レールが変形していた可能性がある』との情報が正しければ、暑さが原因ではないか」と推測する。