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国際組織「日本は自国解釈のみ反映」 歴史教科書“一方的”勧告
国際組織「児童の権利委員会」が、日本の歴史教科書について「日本の解釈のみを反映している」などと批判し、日本側に是正を勧告していたことが24日、分かった。具体的な問題点や教科書名には触れていないが、日韓が対立する歴史認識の問題をめぐって、一方的に日本に“譲歩”を求めているようにも受け取れる内容で、外務省などは勧告に困惑気味だ。
同委員会は、18歳未満の権利についての国際条約「児童の権利条約」が、締約国で履行されているか審査する組織。
6月に採択した日本に対する文書で「歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していないとの情報を懸念する」と批判。そのうえで、「アジア太平洋地域の歴史的事件に関して、バランスのとれた視点を反映することを確保するよう勧告する」としている。
歴史教科書は中学だけで9種類(平成22年度用)あるが、教科書名は特定せず、具体的にどういう情報を基に何を問題視しているかも明示していない。
ただ、委員会の審査段階では、日韓併合や「従軍慰安婦」という言葉の是非などについて議論を行った日韓歴史共同研究が取り上げられ、ドイツ人委員が日本側に質問したことがあった。
委員から質問を受けたという文部科学省の担当者は「教科書の記述について具体的な質問もなかったし、韓国のことを単に『コリア』と呼んでおり、北朝鮮との違いも明確ではなかった」と首をひねる。
韓国と歴史認識が異なることを理由に日本の教科書是正を勧告しているとすれば、重大な問題だ。
勧告には法的拘束力はないが、外務省の担当者は「適切に対処する、としかいえない」と困惑している。
外務省によると、同委員会委員は条約締約国の選挙で選ばれ、学識経験者や「人権の専門家」ら18人で構成されている。政府関係者によると、非政府組織(NGO)や日弁連などの見解の影響を受けることはしばしばあるという。
教科書問題に取り組む「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)は「教科書をどのように書くかは、その国の教育の根幹にかかわる。不当な内政干渉で、断固拒否すべきだ」とする要請書を外務省に提出した。