スイス南部のアルプス山脈で、日本人ツアー客などが乗った観光列車が脱線し日本人1人が死亡、多数のけが人が出た事故で、鉄道会社の経営陣の1人が初めて記者会見し、事故について謝罪しました。
この事故は、23日、スイス南部のアルプス山脈をめぐる観光列車「氷河特急」の客車6両のうち、後ろの3両が脱線し、日本人の64歳の女性が死亡したほか、日本人28人を含む40人がけがをしたもので、警察によりますと、このうち2人の日本人が重体となっています。こうしたなか、鉄道会社の経営陣の1人、ジャン・ピエール・シュミット理事が24日、事故後初めて記者会見を行い、「事故で多くの死傷者が出たことはほんとうに申し訳なく、亡くなった方とそのご遺族に心からお悔やみ申し上げます」と、目に涙を浮かべながら謝罪しました。シュミット理事はさらに社長とともに病院を訪ね、けがをした乗客を見舞うほか、日本から現地を訪れる遺族を空港に出迎えたあと、遺体の安置所に案内する考えを明かにしました。また、鉄道会社によりますと、事故の1週間ほど前に脱線現場を含むおよそ5キロの区間で線路の砂利を押し固める工事が行われたほか、事故の3週間ほど前には暑さによるレールの変形を防ぐため、現場の100メートルほど先でレールの一部を切り取る工事を行っていたということです。これらの工事のあと、線路の異常は確認されず、鉄道会社は事故との因果関係は確認できていないとしていますが、スイス政府の事故調査委員会と警察は、線路の状態に問題がなかったかどうかなど、慎重に調べを進めることにしています。