4回表1死二、三塁、金泰均の好守に笑顔を見せるダルビッシュ=ヤフードームで
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◆マツダオールスターゲーム
全パの2番手で登板の日本ハム・ダルビッシュが“新魔球”でファンを魅了した。これまで球宴は鼻血や打球直撃など災難続きだったが、今年は大違い。1失点ながら、快投をみせつけた。
3回。阪神・マートンへ投げた3球目の142キロが始まりだった。2イニングで投げた“新魔球”は13球。4回は和田、阿部、青木、坂本といったセの強打者に試投した。ホップしながら、鋭く打者の胸元へ切れ込む未知の軌道。「エッ!?」と驚く打者とは対照的に、ダルビッシュは満足げにほほ笑んでいた。
「打者が『あれ』という感じで振ってたので思ったよりいいと思った。期待外れじゃなくてよかった」。十分な手応えに気分は高揚。「あれはカット。軌道が違うんです」。種明かしまでするサービスぶりだった。
練習中に何となくひらめいたという“新魔球”。「握りはちょっと直球をずらしたもの。腕を押し出す向きが普通のカットと違う」と説明するが、すぐに実戦で使えるのがダルビッシュのすごさ。しかも、効果的と考えた左打者だけでなく、右打者からも空振りを奪う成果も。これには思わず、「右相手の方がいいのかな。次の登板から使えますね」とニヤリだ。
昨年、札幌で打球を肩に当てられたラミレスとの対決も“新魔球”で遊ゴロに。「こっちくるなと思っていた」と“ダル節”で振り返った。今オフのメジャー移籍の可能性がささやかれているダルビッシュ。「全部、球がホップできたらいいです」と球場を後にしたが、来年も日本で新球を見たい。そう思ったファンも多かったはずだ。 (川越亮太)
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