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山教組教員、機関紙使い“選挙運動” 参院選「輿石氏必勝」数百人に配布 山梨
民主党の輿石東参院議員(74)が3選した参院選山梨選挙区で、輿石氏の支持母体である山梨県教職員組合(山教組)が公示直前、教員に指示し、「輿石氏の必勝」と記載した機関紙を山教組OB数百人に配布していたことが22日、分かった。中には教員が学校の封筒と便箋(びんせん)を使って配布したケースもあった。専門家は「教員による違法な選挙運動にあたる」と指摘。6年前に教員からの違法な選挙資金集めが事件化した山教組の組織的選挙活動の一端が、また明らかになった。
この機関紙は、山教組が発行する「山梨教育」。5月15日に開催された山教組の定期大会の内容をまとめたものだが、「組織運動の展開」という項目で、参院選で「輿石東議員の必勝に向けてとりくむことが確認されました」「参院選での勝利なくしては、安定した政権運営は困難になる」などと記載されていた。
関係者によると、山教組本部は参院選公示直前の6月上旬、この機関紙を各支部ごとに県内全域の山教組OB数百人に配布するよう指示。支部からの指示を受けた各学校では、教員らが分担して、OBの自宅に配布したという。
産経新聞が入手した資料によると、甲府市内の市立小学校に勤務する30代の女性教員は、学校の封筒と便箋を使って配布していた。
政治的中立が求められる教職員の選挙運動は各種法令で厳しく制限されており、教員の地位を利用した勧誘、特定政党や候補者を支持するために書かれた文書などの配布は公職選挙法、国家公務員法、人事院規則で禁じられている。
この機関紙は「特定政党や候補者を支持する文書」にあたる可能性があるが、県教委は「教員が政治的内容が含まれた機関紙を外部に配布するのは好ましくない」としながらも、「直接的な投票依頼ではない」として問題視しないという。
山教組は「数年前から定期的に配布するよう指示しており、活動を伝えるもので、法令違反には当たらない」としている。
教育評論家の石井昌浩氏の話 「直接的ではないが機関紙を通じ言外に輿石氏への投票を訴えているわけだから、教育の政治的中立性を犯す巧妙で不当な選挙運動だ」
教育関係法令に詳しい狭山ケ丘高校(埼玉県)の小川義男校長の話 「指示に基づく組織的な行動で悪質。各種法令で禁じた教員の選挙運動にあたる」と話している。