20日から来日していた大韓航空機爆破事件実行犯の金賢姫元死刑囚が23日、羽田空港から韓国に帰国した。滞在中は長野県軽井沢町の鳩山由紀夫前首相の別荘や東京都内のホテルで、北朝鮮による拉致被害者の家族たちと面会したが、拉致問題の進展につながるような新たな情報は得られなかったとされる。
金元死刑囚は午後3時半過ぎ、政府が用意した小型チャーター機で韓国に向かった。
中井洽拉致問題担当相は同日の閣議後会見で、今回の来日について「家族会の皆さんに希望をお持ち頂き、頑張るという気持ちを強めていただいた」と評価した。「拉致事案の徹底解明に向かって、あらゆる努力を韓国と一緒にやる。日本は情報を必死で集めようとしている、こういうメッセージを世界中に送れた」と成果を強調した。日本政府から金元死刑囚に謝礼を渡したか問われると「全然ありません」と否定。金元死刑囚と家族の土産に、ゲーム機や筆箱、ボールペンを贈ったと述べた。
22日に金元死刑囚が軽井沢町から都内のホテルに向かう途中、ヘリコプターで東京上空などを「遊覧飛行」したことについては「この機会にちょっと上空を見せてあげる。こんなことを非難していたら、情報を持っている人は日本に来ない」と持論を展開。「韓国はすさまじい反対だったが、私の責任で飛ばしてくれと言った。非難は僕に浴びせてください」と述べた。
一方、政府認定の被害者以外に、北朝鮮に拉致された疑いがあるとして特定失踪(しっそう)者の調査をしている特定失踪者問題調査会の荒木和博代表は「避暑地に行ったりヘリに乗ったりする時間があるなら、特定失踪者の家族と会ってほしかった」と批判した。