<新幹線長崎ルート>前原国交相、着工判断先送り 費用対効果に厚い壁
7月24日17時40分配信 毎日新聞
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整備新幹線の着工状況(九州) |
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「財源や地方負担などの問題があり、(8月末までに)判断するのは時間的に難しい」。前原誠司国土交通相は23日の記者会見で、長崎ルートを含む整備新幹線未着工3区間について、8月までに出すとしていた着工の是非に関する結論を先送りする考えを示した。 長崎ルートは財源確保の難しさに加え(1)新車両は開発できるか(2)十分な費用対効果が見込めるか−−という課題も抱え、他の区間より問題は複雑だ。
同ルートは、軌間が異なる新幹線と在来線の両方を同一車両が走る国内初の新幹線。県は、すでに着工している武雄温泉−諫早を従来の新幹線と同じフル規格に格上げした上で(1)未着工の諫早−長崎のフル規格での延伸(2)在来線の肥前山口−武雄温泉の複線化(3)長崎−新大阪の直通運行−−を目指す。
だが実現には、異なる線路幅を走れるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の開発が不可欠だ。FGTの開発にはすでに240億円以上投じられたが、車両の軽量化が難しく、開発は難航。政府は夏までに開発の是非を見極める考えだ。
費用対効果の問題がこれに追い打ちをかける。着工区間を整備しても、博多−長崎間の時間短縮効果は26分。県は4月、諫早−長崎をフル規格で延伸した場合「時間短縮は平均41分になる」とした独自のデータを国交省の調整会議に提示、必死に巻き返している。
だが、規格を格上げすれば建設コストも上がる。県は延伸に必要な事業費を1100億円と見積もるが、さらに数百億円単位で増えるとの指摘もある。
時間短縮への最大のネックは、在来線を走る肥前山口−武雄温泉(13・7キロ)が単線であること。「通過待ちの新幹線など笑いもの」と揶揄(やゆ)されてもいる。県も複線化を切実に願うが、これも概算で175億円が必要となる。
現状の計画では費用対効果が乏しく、向上させれば事業費が膨れ上がる−−。長崎ルートはそんなジレンマの中にある。同ルートは「走り出したら止まらない」とされる公共事業の典型の様相も見せ始めた。財政再建を掲げる菅内閣の発足で、県側の旗色がさらに悪くなる可能性も否定できない。
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最終更新:7月24日20時50分
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