赤い瓦に白い窓枠。旧住宅の面影を残す新築のトイレ=東京都杉並区、富田写す
焼失前の住宅=東京都杉並区提供
宮崎駿監督(69)の人気アニメ映画「となりのトトロ」にちなみ「トトロの住む家」と親しまれながら、昨年2月に焼失した東京都杉並区の住宅の跡地が、宮崎監督のデザインをもとに公園に生まれ変わった。焼け残った瓦を新しい建物に使うなど、かつての面影を残す。25日開園する。
旧住宅は1924年に建てられた洋風の木造家屋。宮崎監督が“森の主”トトロが喜んで住みそうな家を紹介した自著で、この住宅を「たからもの」と表現。全国から宮崎作品のファンらが訪れるようになり、保存を求める約6300人分の署名も集まった。
杉並区が建物を残して公園にする計画を進めていたが、不審火による火災で焼失した。これを知った宮崎監督が新たな公園の構想図とスケッチを描き、区はデザイン通りに整備した。黒く焼け焦げた木々は伐採せず、旧住宅の土台も保存。新築のトイレの屋根の一部には焼け残った赤瓦を使った。
宮崎監督は「感想は地域の皆さんや杉並区に聞いてください」。旧住宅で40年近く暮らした元デザイン学校教員の近藤英(えい)さん(85)は「夢のよう。これからは、私たち住民が公園を守っていくことが宮崎さんへのお礼にもなる」と話している。(富田祥広)