ソニー韓国人役員が退職した理由(上)

 「サムスンは何をするつもりなのか。あなたなら知っているでしょう」

 日本のソニーで先月開かれた経営執行役会議。ストリンガー会長を含む経営執行役8人のうち1人が、安京洙(アン・ギョンス)B2Bソリューション兼グローバルビジネス・グループ長(58)=現ノルペイント会長=に尋ねた。ソニーの社長クラスの経営陣で唯一の韓国人である安グループ長は、自分の担当業務とは関係なく、数年にわたりそんな質問を受け苦しんだ。

 「ソニーの最高役員会議の主な話題の一つが、サムスンやLGなど韓国企業についてだ」

 6月末にソニーを退社した安氏は、「退社理由の一つが、そうした主体性の混乱だった。どうすれば韓国企業に勝てるかを話し合ったり、そういう会議を開いたりしてどうするのかと思った」と話した。

 安氏の経歴を見れば、ソニーの役員がなぜそんな質問をしたのかを知ることができる。安氏はソウル大化工科を卒業後、米スタンフォード大で材料工学分野の博士号を取得し、1984年に大宇電子取締役に就任した。その後、サムスン電子会長秘書室経営管理チーム長、三湖物産社長、暁星グループ総合調整室副社長、韓国富士通社長、富士通本社経営執行役などを務めた。安氏が2003年に富士通の経営執行役に就任した際、日本社会は衝撃を受けた。外国人が内部昇進で大企業の経営執行役に就任した初のケースだったからだ。

 現在ソニー内部では、韓国警戒論が高まっているという。安氏は「ソニーの歴史上最悪の決定がサムスンと共同で(液晶パネル生産会社の)S-LCDを設立したことだといわれるほどだ」と話した。S-LCDを設立し、そこから液晶パネルの供給を受けたことで、ソニーの魂であるテレビ事業の主導権を失い、サムスン、LGに続く3位の企業に転落したという見方があるためだという。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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