2女児虐待死事件控訴審 初公判で結審

札幌高裁、弁護人の証人請求と被告人質問を却下

 

マンション

写真・稲見淳被告に暴行を受けた後、長
女が亡くなった札幌市中央区のマンション

 

 交際していた女性2人の子どもを死亡させたとして、1審・札幌地裁(嶋原文雄裁判長)で懲役17年の判決を言い渡された稲見淳被告(33)の控訴審初公判が6日午前11時から札幌高裁(小川育央裁判長)で開かれた。

 稲見被告は2006年8月から札幌市内のマンションで交際相手の女性とその2女と暮らし始めた。翌月7日に当時3歳の次女を、同月20日には当時4歳の長女を虐待して死亡させたとして、殺人、傷害致死、死体遺棄、暴行の罪で起訴された。

 1審の争点は、検察官、弁護人の双方で主張が異なった長女に対する救命の可能性(殺人罪の成否)だった。

 稲見被告は、長女が衣服に付けたカレーの食べこぼしを隠したことを怒り、風呂場で暴行、意識不明となった長女は病院に搬送させず、約21時間後に死亡した。

 札幌地裁は公判結審後、長女の死亡について、検察官に殺人罪だけでなく予備的訴因として傷害致死罪を加えることを求め、判決が2度延期される異例の展開となった。

 検察官は論告で「救命の可能性があったにもかかわらず、死んでも構わないと思い放置した」として、「不作為による殺人罪」が成立すると主張、懲役25年を求刑した。一方、弁護人は最終弁論で、「(長女は)きわめて重篤で、すぐに救急車で運んでも救命できなかった可能性もある」として、長女の死に対する罪状は保護責任者遺棄罪にとどまると主張した。

 昨年11月の1審判決は、長女の死について傷害致死罪を適用した。稲見被告は判決を不服として札幌高裁に控訴。稲見被告と共謀し、2女児の遺体を布団圧縮袋などに入れた母親は、死体遺棄罪と保護責任者遺棄致死罪で懲役4年の刑が確定している。

 黒のTシャツとハーフパンツの服装で入廷した丸刈りの稲見被告は、小川裁判長の人定質問によどみなく答えた。札幌高裁は弁護人の証人請求と被告人質問を却下、公判を即日結審した。判決は8月31日に言い渡される。

 閉廷後、主任弁護人の田村智幸弁護士は「控訴趣意書では、原判決を破棄した上で、保護者責任者遺棄罪の適用を求めた」と話した。(文・東)


2女児虐待死事件 札幌地裁、稲見淳被告に懲役17年を宣告
http://www.hokkaido-365.com/news/2009/11/post-604.html

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.hokkaido-365.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2942

ニュース北海道のローカルニュースを発信する情報サイト