大阪市西淀川区のマンションで同居していた小学4年の松本聖香(せいか)さん(当時9)を虐待して死なせたなどとして、保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪に問われた無職小林康浩被告(39)の裁判員裁判の初公判が23日、大阪地裁(樋口裕晃裁判長)であった。小林被告は「食事を抜いたり手を上げたりしたが虐待ではない。普通の親が子に対して行う態度だと思っていた」と述べ、保護責任者遺棄致死罪については無罪を主張した。
小林被告は、両罪に問われた聖香さんの実母松本美奈被告(35)の内縁の夫。樋口裁判長は21日、美奈被告に懲役8年6カ月の実刑判決を言い渡し、判決理由で小林被告が虐待を主導したことを認定している。小林被告の公判は美奈被告らへの証人尋問などを経て、8月2日に判決が言い渡される。
起訴状によると、小林被告は昨年3〜4月、美奈被告と共謀し、聖香さんに十分な食事を与えなかったり、土間やベランダに寝かせたりして衰弱死させた。さらに、美奈被告と知人の男性(42)=有罪判決確定=とともに、遺体を奈良市の墓地に埋めたとされる。小林被告は死体遺棄罪については認めた。
検察側は冒頭陳述で、小林被告が2008年10月から同居するようになった聖香さんが言うことをきかないことなどに腹を立て、暴力をふるい始めたと主張。死亡当日未明から最低気温が10度以下のベランダに放置したと述べた。これに対し、弁護側は「被告は聖香さんの死をまったく予想していなかった」と主張し、死因についても「持病の可能性がある」と述べた。