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きょうの社説 2010年7月24日
◎地デジ移行へ1年 「難視聴世帯」対策が急務に
珠洲市と能登町の一部できょうから全国に先駆けてアナログ放送が停止される。201
1年7月の地上デジタル放送完全移行まで残り1年となり、高齢化率4割を超える「リハーサル地域」での実験的な取り組みは、成功したと言えるのではないか。地元の「電器屋さん」が高齢者宅などへ戸別訪問して、サポートするアイデアは、高齢者比率の高い地方には特に有効だろう。問題は、地デジ化の最大の課題といわれる難視聴世帯の救済策である。珠洲周辺には難 視聴地域がほとんどなかったが、ビル陰による難視聴世帯は、北陸三県だけで約7万2千世帯にも及ぶ。難視聴地域の解消は、国や自治体の責任でもあり、地デジ対応の共同受信施設やケーブルテレビによる難視聴対策を急ぐ必要がある。 電波障害対策の共同受信施設がある地域や集合住宅などは、受信施設を地デジ対応にし なければならない。しかし、住人自身が共同受信施設を利用していることを知らなかったり、共同受信施設の管理者がだれか分からないケースが少なくない。また、アナログ波なら問題なしに受信できた地域で、想定外の難視聴世帯が発生する例もあるという。 アナログテレビのままでも地デジを受信できるチューナーの配布対象を広げたり、川北 町の地上デジタル放送移行補助制度のように、手厚い行政支援を検討する時期に来ているのではないか。 地域挙げての「珠洲モデル」の成功を支えたのは、町の電器屋さんだった。都市部では 、こうした小規模経営の電器店が減少の一途をたどっているのが気掛かりだ。高齢化が進む一方、家電製品は年々使い方が難しくなるばかりで、地デジに限らず、最新の家電製品を使いこなせない人も多いのではないか。地デジへの切り替えを通じて顧客と一対一の関係を再構築していけば、省エネタイプの家電などを購入してもらうチャンスにもなるだろう。 政府が景気対策として始めた「エコポイント制度」は地デジ対応テレビの普及を促した が、今年12月には終了する。政府として新たな普及支援策を考えてほしい。
◎管理栄養士 重み増す開業医との連携
小松市民病院に事務局を置く「南加賀かけはしネットワーク」が、糖尿病の治療体制充
実のため、今秋から南加賀地区の開業医に管理栄養士を派遣し、患者の栄養相談を行う事業に取り組む。糖尿病に限らず、「新たな国民病」ともいわれる慢性腎臓病なども食事療法が重要であり、各地域で開業医と管理栄養士の連携強化が求められる。糖尿病など生活習慣病の治療には食事療法が不可欠である。それを指導する管理栄養士 の多くは大きな病院に所属しており、開業医が直接雇い入れて専門的な栄養指導を行うことはむずかしい。糖尿病患者のために外来栄養指導の窓口を設けたり、「教育入院」を行っている病院は多いが、患者にすれば、かかりつけの開業医で管理栄養士から栄養指導を行ってもらえればなお便利であろう。 南加賀かけはしネットワークは、南加賀地区の病院や開業医、調剤薬局などが連携して 、糖尿病治療に取り組んでいる。管理栄養士をネットワークで雇用し、希望する開業医に派遣する計画というが、他地域でも広く取り組まれてよい試みである。 医療現場では、さまざまな医療スタッフが目的と情報を共有し、連携して患者の治療に 当たる「チーム医療」の重要性が説かれている。管理栄養士も医療スタッフの一員であり、医師と連携した活動が今後ますます重要になる。活動の広がりが求められる一つの分野として、国内の推定患者が1300万人ともいわれる慢性腎臓病が挙げられよう。 慢性腎臓病は放っておくと腎不全に至り、最終的には透析や腎臓移植が必要になってく る。「透析予備軍」とも呼ばれる慢性腎臓病患者の重症化を防ぐため、厚生労働省は現在、金沢市医師会や富山市医師会の専門医らも参加して、全国規模の研究を進めているところである。 同省は2011年度まで研究を行い、慢性腎臓病の悪化を防ぐ仕組みを整える計画であ るが、この病気も食事療法が欠かせず、管理栄養士の活動が重要な位置を占めることになる。
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