7回表無死、左越えにソロ本塁打を放ちチームメートに迎えられる堂林
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◆全ウエスタン6−3全イースタン
喜びをかみ締めるようにダイヤモンドをゆっくりと一周した。ベンチに戻ってくると、広島の堂林はチームメートの岩本にヘルメットを脱がしてもらい、仲間とハイタッチを交わした。6番・三塁で先発出場し、迎えた7回の3打席目。ロッテの林が投じた初球の143キロをとらえて、左翼席に放り込んだ。
「1、2打席目は力が入って思うようなスイングができなかったけど、3打席目はしっかり振り抜けました。手応えは完ぺき」。スタンドで見守った両親の前で、美しい放物線を描いた。
自称「中距離バッター」。それでも「チームから長打も求められているので」と、イースタン63試合の出場で既に6本塁打を放っている。横浜の筒香、ソフトバンクの今宮ら同世代のライバルも顔をそろえた舞台で、パンチ力を兼ね備えた打撃センスを見せた。
中京大中京高ではエース兼4番打者として、昨夏の甲子園で全国制覇。プロでは打者一本で勝負している。6月、ウエスタン・リーグの名古屋遠征中、試合の合間を縫って母校を訪ねた。そこで大藤敏行監督から、今夏限りで退任する考えを聞かされた。「固まって何も言えませんでした」。報道される前だっただけにショックを隠せなかった。「監督のためにも活躍したい」。プロで成長した姿を見せることを心に誓った。
優秀選手賞が有力視されていた中で同僚の武内が9回、西武の斉藤に三塁打を浴び、土壇場で受賞を逃した。「武内さんが打たれなければ…」。苦笑いしながらも、金の卵が勢ぞろいする試合で確かな自信をつかんだ。「しっかり練習して1軍に上がりたい。みんなに愛される選手になりたい」。サクセスストーリーの幕はこれから上げる。大きな足跡を長崎の地に残した。 (永山陽平)
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