(CNN) メキシコ湾原油流出事故をめぐり、沈没したリグ(石油掘削施設)「ディープウオーター・ホライズン」で働いていた従業員の多くが、リグの安全性にかかわる人為的ミスを報告することに関し、報告したことによる措置を恐れていたことが、爆発の約1カ月前に行われた調査の機密報告書で明らかになった。
CNNが入手した報告書の要旨には、「特に物を落としたことを報告することに関し、措置に対する明確な恐れがあった」と記されている。
また「危険な状況を引き起こし得る行為(何かをし忘れる、機器を破損する、高所から物を落とすなど)があった場合、それに対する措置の恐れを感じることなく報告できると答えた人は、調査対象者の46.3%のみだった」との記載もある。
報告書に詳しい人物によると、一部の作業員が、安全システムをごまかすために偽装データを入力していたことも明らかになったという。
この調査は、リグを所有するトランスオーシャンが、コンサルティング会社のロイドレジスターグループに委託したもので、3月12〜16日に、リグ作業員の約半数に当たる40人を対象に実施された。リグは4月20日に爆発、2日後に沈没した。報告書が完成したのはその後の5月11日だ。
報告書は、「ディープウオーター・ホライズンは、安全管理の多くの基本的側面において、比較的健全である」と結論付けており、リグの安全文化の各項目では5点満点中、2.9〜3.5点をつけている。
一方、22日付ニューヨークタイムズ紙によると、別のコンサルティング会社は、同リグの129種類の機器や装置のうち少なくとも26種類が「悪い」か「低質な」状態にあると指摘していたという。