「大相撲名古屋場所12日目」(22日、愛知県体育館)
横綱白鵬が「大鵬記録」と「優勝」に、ダブル王手をかけた。初顔の北太樹を切り返しで退け、全勝を堅持。初場所14日目から続く連勝を「44」まで伸ばし、13日目の大関琴欧洲戦に勝利すれば、昭和の大横綱・大鵬が持つ昭和以降では歴代3位の連勝記録に並ぶ。さらに2敗の豊真将が敗れた場合、3場所連続15回目の優勝が決まる。
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初顔を相手に、大横綱の貫禄を見せつけた。鋭く踏み込んだ白鵬が、すぐさま右四つ左上手を奪い攻め立てる。土俵際で間髪入れずに切り返し。豪快に北太樹をなぎ倒し、無傷12連勝を決めた。
完勝に「立ち合いからいいところが取れたんで、落ち着いて前に攻めました」と涼しい顔。「今日は横綱相撲ですか?」と問われると、「今まで(横綱相撲を)見せてないということ?」と切り返し、「いつもです」との返答に、「ありがとうございます。光栄でございます」とおどけた。
初場所14日目から続く連勝を「44」まで伸ばし、大鵬の連勝記録「45」に王手をかけた。「(13日目に)勝ったらね、恩返ししたことになります。それから報告したい」と、親交のある元横綱大鵬の納谷幸喜さんに直接電話して喜びの声を届けるつもりだ。
支度部屋では余裕たっぷりの横綱だが、宿舎では普段と違う思い詰めた表情を見せる。指導する熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「今場所は裏手に行って一人でじっとしていることが多い」と話し、「プレッシャーもあるだろうし、集中したいんだろうね」と思いやる。
地方場所では休みがちだった朝げいこを、今場所はほぼ毎日行っている。「こういう時こそ自分がやらないと、引っ張っていかないと、という自覚が出てきた」(熊ケ谷親方)。野球賭博問題に揺れる場所を、横綱が先頭に立ってけん引してきた。
後続に2差をつけ、13日目にも優勝が決まる展開となったが、「千秋楽まで取りきる、だね」ときっぱり。15日制では史上初となる3場所連続全勝優勝を決める‐。白鵬の決意に揺るぎはない。