家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、農林水産省の疫学調査チームは23日、同省で検討会を開き、4月20日の感染初確認より前に、10戸以上の農場の家畜が口蹄疫ウイルスに感染していたことを確認した。最初の感染は3月31日に宮崎県都農町で下痢の症状が確認された水牛と認定。この水牛のウイルスが人や車を介して近くの農場に運ばれ、感染が拡大したとみている。
同チームによると、家畜に異常が出た農家や診断した獣医師への聞き取りで把握した症状と、抗体検査の結果を合わせてウイルスが体内に侵入し感染した時期を推定した。最初の感染とした水牛の体内には3月中旬にはウイルスが入っていたことが分かり、都農、川南両町の農場10戸以上の家畜は4月20日以前に感染し一部は発症していた。
水牛の感染源について同チームは「アジア地域から人や物の移動に伴って日本に侵入したと考えられるが、現時点では経路を特定するのは困難」と結論付けた。津田知幸チーム長は検討会後「同時ではなく、順番に感染が広がった」と初期の感染経路を説明し「初期症状で口蹄疫だと見抜くのは難しいが、発見が早ければ拡大を抑えられたかもしれない」と述べた。
一方、川南町など農場が密集した被害集中地域について津田チーム長は、ウイルスを含む微粒子が風で運ばれ「1キロを超えない範囲に広がった可能性もある」と言及した。同チームは8月中にも中間報告をまとめる方針。異常がある農場は人の出入りを控え、人や車の消毒を徹底することを提言する。
=2010/07/24付 西日本新聞朝刊=