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殺処分まで平均9.6日 24時間以内は6%
(2010年7月20日付)
本県で口蹄疫の感染・感染疑いが確認された全295農場の牛と豚の殺処分に平均で9・6日を要したことが、宮崎日日新聞社の調べで分かった。
一方で、24時間以内に殺処分を終えた農場は18農場で、全体の6%にとどまる。川南町と高鍋町では作業人員の不足や埋却地の確保が難航したことなどで、殺処分までに20日以上が経過したケースも目立ち、自治体間の格差も浮き彫りとなった。
295農場の内訳は牛209農場、豚86農場。実際の発生農場数は291農場(ヤギ飼育1農場を除く)だが、うち4農場は牛と豚を一緒に飼育していたため、それぞれの農場を牛1農場、豚1農場に分けて集計した。
畜種別の平均は牛が9・5日、豚が9・8日。感染疑いの確認から24時間以内に殺処分を終えたのは牛16農場、豚2農場だけだった。牛、豚を合わせると6〜10日が82農場と最も多く、2〜5日が77農場、11〜15日が73農場、16〜20日が22農場、21〜25日が14農場、26日以上が9農場だった。
市町村別にみると、高鍋町が11・4日と最も長く、川南町が11日と続いた。一方、発生が集中した児湯地域の最短は都農町。31農場で感染・感染疑いが出ながら、効率的な作業により3・4日だった。
国や県は牛よりも伝染力の強い豚の殺処分を優先。しかし、川南町を中心に千頭以上の豚を飼育する農場が42農場に上るなど、飼育規模の大きさが作業の長期化につながったとみられる。
面積が県内で最も狭い高鍋町では、殺処分した牛の埋却地探しが難航。同町で感染が確認された牛20農場のうち、千頭以上の飼育規模が6農場あり、広大な埋却地が必要だった。共同埋却も行ったが、8農場で殺処分に20日以上かかり、1300頭を飼育する農場では県内最長の35日を費やした。
発生件数が最も多い5月をみると、感染が爆発的に広がった大型連休明けから、殺処分に時間がかかるようになった。連休前と連休中は平均3・4日だったのに対し、連休後は11日と3倍以上の時間を要した。
国は、殺処分の遅れが今回の感染拡大につながったとみており、その教訓に基づいて「口蹄疫防疫措置実施マニュアル」を6月24日に各都道府県へ通知。感染疑いの確認後24時間以内に殺処分を終えるように指示している。
宮崎大農学部獣医学科の後藤義孝教授(獣医微生物学)は「殺処分に時間がかかると、農場内でウイルスを培養しているのと同じ」と述べ、畜産経営を再開する前に「農家や行政が埋却地を事前に確保することも必要。発生に備えて、殺処分の流れや防疫作業を確認するための訓練も求められる」と指摘する。