県、対策費確保に躍起 各課中止事業洗い出し

(2010年7月23日付)
 口蹄疫対策で厳しい財政運営を強いられている県は、財源を捻出(ねんしゅつ)するため、口蹄疫で執行できない事業を報告するよう各課に呼び掛けている。国からの財政支援が足りずに総額67億円もの負担が生じる見通しとなっているため、早めに事業費の減額を確定させて負担を少しでも圧縮したい考え。県は国の財政支援の全容が不透明な中、基金を取り崩しながら対応しており、財源確保に躍起になっている現状が浮き彫りとなっている。

 県財政課によると、報告を求めているのは、口蹄疫対策で開催が困難になったり、規模の縮少を余儀なくされたりする事業。口蹄疫対策費を捻出すると同時に、台風などの自然災害に対応する基金をこれ以上減らさないようにする狙いもある。予算の効率的な執行をより一層徹底することも求めた。来月までの2カ月間受け付ける。

 口蹄疫に関する補正予算は4月から7月にかけて計5回編成しており、総額は県の一般会計当初予算の約1割に相当する約592億円に上る。このうち県の負担額117億円の財源として、地方交付税50億円を当て込んでいるが、不足分の67億円は基金を取り崩して補う。特別交付税の歳入も要請しているが、不透明な情勢という。

 これにより、財政調整積立金などの基金残高見込み(本年度末)は、286億円から219億円にまで減少。県は近年、歳入不足を補うため、毎年150億円のペースで取り崩しており、2年後には底を突いて予算が組めなくなる恐れが出ている。

 来月27日には、家畜のふん尿処理終了に合わせて終息宣言を行う方針でもあり、今後は疲弊した地域経済の復興も焦点。ただし、口蹄疫対策特別措置法第23条で設置が認められている地域経済再建のための基金について、国はまだ具体的な動きをみせていない。同課は「復興計画の策定を進めているが、県の財政が厳しい以上、国の支援が明確にならなければ財源の裏付けができない」と懸念している。