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来月27日終息宣言へ ふん尿処理終了を節目

(2010年7月22日付)

 口蹄疫問題で県は、児湯地域に残された家畜のふん尿処理が終了する来月27日に合わせ、「終息宣言」を行う方針であることが21日、分かった。このまま新たな発生がなければ、今月27日に県内全域で家畜の移動・搬出制限区域が解除される見通し。だが、ふん尿に残されたウイルスへの警戒は1カ月後まで続くため、制限区域の全面解除を口蹄疫問題の完全な終息とは位置付けず、注意喚起を続ける意向。一方、県は県産の牛と豚の安全を県外へ発信するため、家畜の全頭検査も実施。まず都城地区で22日から始め、来月11日をめどに県内すべてを終わらせたい考え。

 21日の県議会環境農林水産常任委員会で県が明らかにした。

 県内で唯一、宮崎市周辺に残された制限区域は27日解除の見通し。移動制限区域内に適用している非常事態宣言も同じタイミングで解除する意向で、不要不急の外出やイベントの自粛など、県民生活は制限が解かれる。

 しかし、児湯地域には埋却できなかった家畜のふん尿が残されており、東国原知事は「発生農場に近づかないよう発信したい」として、制限区域の全面解除後も県民に注意を促していく。

 ふん尿については、県と農林水産省が最優先課題として堆肥(たいひ)処理による無害化を進めている。このため、処理を終える来月27日に終息宣言を行って、畜産農家に再開の目安を示すとともに、県民にも公式に安全を発表する考えだ。

 全頭検査は、「安全」を発信することで県外購買者の不安感を一掃し、県内各市場の競り再開後に価格低下など風評被害を生じさせないための対策。

 県畜産課によると、対象農家は約7700戸(牛約7200戸、豚約500戸)となる見込み。検査は獣医師と市町村かJAの職員の2人態勢で行い、各市町村には県の家畜防疫員が待機して巡回結果を確認する。制限区域解除のため、宮崎市などで23日まで行っている目視検査の対象農場は除外される。

 一方、県内各家畜市場の担当者らは21日、今後の対応について宮崎市内で協議。同市の制限区域が残っている事情から、競り再開時期については日程を決めるには至らなかった。解除後にあらためて協議を行う。