●早朝到着、軽井沢の鳩山別荘へ
厳戒警備の中、金賢姫(48)が20日未明4時前、初来日した。羽田空港に到着すると、そのまま車で長野県・軽井沢へ移動。ナント、鳩山前首相の広大な別荘に入った。
早くも周辺はテレビカメラや報道陣でごった返している。
金は87年の大韓航空機爆破事件の実行犯。死刑判決を受けながら特赦で放免された。今回は北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(当時13)の両親と面会するのが主な目的だが、メディアが騒ぐほどの成果は期待できそうにない。拉致問題に詳しいジャーナリストの太刀川正樹氏が言う。
「彼女は日本の出版社から2冊本を出しましたが、印税は爆破事件の遺族に提供した。ビジネスにも失敗して、いまは生活に困っている。日本政府は彼女の来日にけっこうな額のおカネを払っているようです。ただし、いまさら新しい情報は期待できません」
それでも日本政府は大金をかけている。本人に払うギャラは2000万〜3000万円。このほか特別機のチャーター費用として数千万円、外国人特派員の招聘(しょうへい)に数百万円……。総額1億円のプロジェクトだ。
「来日を主導したのは中井国家公安委員長です。狙いはズバリ人気回復。拉致問題への取り組みをアピールすることで支持率を上げたい。また、菅首相には拉致実行犯・辛光洙の釈放要望書に署名した過去があり、選挙戦でもネチネチと攻撃された。その失点を帳消しにするためにも彼女の来日が必要なのです」(政府関係者)
もっとも、新事実が出ないのなら効果も見込めない。だいたい、拉致問題は金賢姫が来日してもしなくても膠着(こうちゃく)状態だ。元凶はあの小泉純一郎元首相にある。
「もともと北朝鮮は拉致被害者をこっそり帰国させる気だったのです。ところが02年に小泉元首相が人気取りのために訪朝し、予定が狂ってしまった。北朝鮮は蓮池さんや地村さんら5人しか生存していないと断言。いまさらほかの生存者がいるとは言えなくなった。だからその後、誰も戻ってきていないのです。あそこで小泉元首相がスタンドプレーに走らなければ、もっと多くの人が戻れた可能性があります」(太刀川正樹氏)
やはり小泉は日本をグチャグチャにしたA級戦犯だ。
(日刊ゲンダイ2010年7月20日掲載)