チェックメイト

チェスセット9月に入り、朝晩が再び少しずつ涼しくなってきました。とか書くとまた暑くなってしまいそうですが(笑)、これからは1日ごとに秋の訪れを実感できる日々になりそうです。

ところで、私の趣味は「クラシック音楽鑑賞、ピアノ、マジック、サッカー観戦」という事になってますが(サッカーは最近見に行ってないけど)、実は密かな趣味がもう1つあります。それがチェス。学生時代に何となくやってみようと思って覚え(「ボビー・フィッシャーのチェス入門」という本で覚えた。この本は名著!)、以来たまーにやってます。大っぴらに「趣味はチェスです」と言わないのは、はっきり言って弱いからなんですけどね(笑)。
画像は、私が使っているチェスのセット。これは輸入品で携帯用。盤を2つに折り畳めて、駒は木製で磁石内臓。国産のものと比べると、かなり高級感があってお気に入りです。

チェスセットはもう1つ持ってまして、そっちは据え置き型(?)。が、大きすぎて(チェスボードの大きさ、50cm四方)、滅多に出せないんですけど。

写真に写っている本は、パンドルフィニの「エンドゲームコース」。終盤を題材にしたエチュード(プロブレム)を集めた本。将棋で言うところの詰め将棋ですが、チェスのエチュードは、必ず王手をかけなければいけない訳ではないので、物によってはかなり手こずります。

余談ですが、チェスと将棋では手数の数え方が違います。将棋だと、先手が指して1手、後手が指して2手ですが、チェスでは白と黒が指して1手と数えます。なので、チェスエチュードで「2手でメイト」は、将棋で言えば「3手詰め」です。

チェスの本は、日本ではほとんど出版されてないので、どうしても洋書を読む羽目になります。ま、洋書は2、3冊しか持ってませんが(その上、全部は全然読んでないけど)。

この本は、チェスのルールを覚えたくらいの方でもお勧めの本。全部英語ですけど、そんなに英語は難しくはありません。もちろん、私は前半部分くらいで挫折してます(笑)。後半は「こんなの解けるか!」という問題が目白押し。

何せ「18手メイト」(将棋で言えば35手詰め)なんてのもありますし、チェスならではの問題として「白先、引き分けにせよ」なんてのもあります(チェスには、「ステイルメイト」と言って、引き分けがあるのです)。まあ、手数が長い問題は、「手なり」に指して行く事も多いですが……。

チェスって何となくルールが難しそうというイメージがありますが、将棋が分かる人なら10分で覚えられます。ポーンの動きが将棋の歩とは若干違うのと、引き分け(ステイルメイト)があるのと、キャスリング、アンパッサンという特殊ルールがあるくらいです。

その他、用語は結構将棋と対応しています。「チェック」(王手)「チェックメイト」(詰み)「ディスカバードチェック」(空き王手)「ダブルチェック」(両王手)「フォーク」(両取り)「ピン」(串刺し)「プロモーション」(成り?)「サクリファイス」(駒捨て)「パーペチュアルチェック」(千日手?)などなど。

ただ将棋と違うところも多く、将棋の感覚で指していると、強い人には何が何だか分からないうちにぼこぼこにされます(汗)。チェスは強い駒が多い上、一度取られた駒はそれっきり(将棋のように、持ち駒として使う事はできない)ですから、「気がついたらチェックメイトになっていた」何て事もあるのです。何せ、ゲーム開始から最短3手で終わる事もありますから(笑)。

そう言えば、将棋とチェスについては面白い話があります。第二次世界大戦直後、GHQが日本人に将棋をやめさせるべく、大棋士升田幸三を呼び出したそうです。

そして「将棋は野蛮なゲームだ。取った駒を捕虜として重労働させているじゃないか。捕虜虐待だ」と言いました。すると升田は「何をいうか。チェスは取ったらそれっきりだ。つまり捕虜を殺してしまうんだ。それに比べると将棋は取った駒を、その能力のままに活用するんだ。捕虜虐待はチェスの方だ」とやり返しました。

GHQは今度は「チェスにはクイーンと言って女性の駒もある。男女平等なゲームだ」と言いましたが、升田も負けていません。「馬鹿な事を言うな。チェスは王様が危なくなると、女王を盾にして逃げてしまうじゃないか。どこが男女平等だ」と言い返します。

とうとうGHQも升田に負けてしまったんだそうです。今日本で将棋が指せるのは、元名人升田幸三のお陰かも知れません。

それはさておきチェスも面白く、かつお洒落なゲームですから、興味のある方は是非挑戦してみてください。見た目ほどルールは複雑ではありませんから。
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comments

岩崎 高宗 | 2009/09/03 10:34 AM
お疲れ様です。

恥ずかしながら、自分は将棋アマ四段です。
最近は戦術を磨いていませんが、大抵の
人には負けないと思います。

どうぞ、よろしく…です。
NaGISA | 2009/09/03 08:34 PM
>>岩崎さん
アマチュア4段とは凄いですね。私は、初段の知り合いと
対戦しても、10回に1、2回しか勝てない始末。チェスも、
ただ「何となくお洒落だから」で趣味にしているだけですし(汗)。

ちなみに、私が将棋を指すと、何も考えずに飛車を振ります。
それしか戦法を知らないから、という話も(笑)。
岩崎 高宗 | 2009/09/04 07:27 PM
NaGISAさん、お疲れ様です。

振り飛車党は最近、やや分が悪いみたいですね。10年少々前、藤井猛九段が藤井システムを考案してから数年は、振り飛車党が猛威をふるっていましたが、居飛車側の対策が進んでしまった結果、当の藤井九段があまりに勝てないため、矢倉党に鞍替えしてしまったようです。現在、振り飛車党で強いのは、久保利明棋王と、鈴木大介八段くらいでしょうか。ちなみに、羽生善治名人は居飛車、振り飛車を自在に指しこなし、相手の得意型でも受けて立つという棋風です。若手で羽生名人に太刀打ちできるとしたら、渡辺明竜王くらいではないでしょうか。個人的には、森内俊之九段、郷田真隆九段、谷川浩司九段、佐藤康光九段の奮起を期待していますが…

長文、失礼しました。
NaGISA | 2009/09/04 09:55 PM
>>岩崎さん
藤井システムは、初登場した時が衝撃的でしたね。40数手で
相手を攻め潰してしまったんでしたっけ。しかし、藤井さんが
矢倉党って、似合わないような。矢倉と言えば森下九段と
いうようなイメージがあるんですけど。

>若手で羽生名人に太刀打ちできるとしたら、渡辺明竜王くらい
>ではないでしょうか
渡辺竜王は、強いんですけど安定してないんですよね。
でもNHK杯の初手でとんでもない手を指したり、プロらしく
「見せる」将棋を指すので、個人的には丸山忠久あたり
よりははるかに好きです。丸山忠久は、「将棋で金とって
るんだから、もうちょっと面白い将棋指せ」と言いたく
なります。今は日曜は教会へ行くので滅多に見られませんが、
NHK杯をつけて、対局者が丸山九段だと「なんだ丸山か」と
テレビ消してましたから(笑)。

なお、私が一番好きな棋士は加藤一二三九段です。解説が
また面白いんですよね。
岩崎 高宗 | 2009/09/05 07:33 PM
NaGISAさん、お疲れ様です。

丸山九段ですか。彼の指し方はよく「友達を
なくす指し方」とか言われますね(苦笑)。
勝負に辛い手を指すので、賛否両論あるかと
思いますが。ただ、対局後には気さくな人
らしいので、評判は悪くないと思います。

加藤九段というと、キーワードは「棒銀」。
何を指しても棒銀一直線ですね。そうか、
あと、彼は敬虔なキリスト教徒でもありますね。
その点でNaGISAさんには馴染みやすい棋士
なのかもしれません。

藤井九段について補足しますと、彼の矢倉は
早囲いを目指す独特な指し方です。元々、
藤井システムを考案するときに、居飛車を
徹底的に研究したらしいので、違和感なく
矢倉を指しこなせるのだとか。

個人的には三浦八段、深浦王位、木村八段
も面白いと思います。特に、深浦王位は、
現役棋士の中で羽生名人と五分の戦績を
残している稀有な棋士です。

どうぞ、よろしくお願いいたします。
NaGISA | 2009/09/05 08:40 PM
>>岩崎さん
丸山九段は確かに強いんですが、華がないんですよねえ。
私は、鈴木八段くらい豪快で無理矢理な将棋が、(見てる
分には)好きです。鈴木八段は解説も分かりやすいですし。
鈴木八段の力戦中飛車(いわゆる「ゴキゲン中飛車」)の
本は持ってますが、テレビなどでの語り口の通りの本でした(笑)。

>加藤九段というと、キーワードは「棒銀」。
>あと、彼は敬虔なキリスト教徒でもありますね。
加藤九段はカトリックですが、教会のバザーでは詰め将棋の
コーナーを開いて、大人気なんだそうです。うーん、
行ってみたい。

>個人的には三浦八段、深浦王位、木村八段も面白いと思います。
木村八段は強いんですが、タイトルには何故か縁がない
ですよね。私としては、渡辺竜王以外の若手実力者、橋本
七段とか山崎七段辺りにも奮起してもらい、頻繁にタイトル
戦に絡んでくれれば、もっと面白くなると思ってます。

個人的に今一番好きな棋士は、瀬川四段なんですが(笑)。
岩崎 高宗 | 2009/09/06 07:39 PM
NaGISAさん、お疲れ様です。

鈴木八段は、見た目も大柄ですが、見た目通り、
豪快に飛車を振るから、見ていて、気持ちが
いいですね。

瀬川四段…いいですね。再挑戦のチャンスを
モノにして、プロになった向上心、いいじゃ
ないですか。しかも、成績優秀なため、来春
から順位戦にも参加できます。

山崎七段は見た目も格好いいし、意外に力戦型を
好むので好きです。ハッシーはちょっと髪型が
むさ苦しいですね(苦笑)。将棋講座はわりと
好評みたいなんで、もう少しスーツが似合う
髪型にした方が…。

今日のNHK杯は森内九段と、若手のホープ豊島
五段の勝負だったんですが、やはり森内九段は
強いですね。少しの隙も逃しません。近い将来、
またタイトル戦に出るのは間違いないと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。
NaGISA | 2009/09/08 05:30 AM
>>岩崎さん
鈴木八段も、強さが安定していないんですよね。何とか
タイトルを1つくらいは取って欲しいなと思ってます。

瀬川さんは、Blogを愛読してるんですよ。文章が上手くて
読み応えあります。もっとも、棋士はほとんど例外がなく
文章が上手くてBlogは面白いですけど。文章が下手で、
将棋が強くなれるとはあまり思えない(笑)。

森内九段と言えば、「パネルアタック25」に出場した
時の事が印象に残っています。博識でクイズも強かった
んですが、パネルの取り方が完璧で、1ミリの反撃も
許さないような完勝。さすがは名人(当時)と感心する
事しきりでした。

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