福岡市議会の木村幾久市議(58)=社民党、早良区選出=が、2009年度の政務調査費で推理小説や観光ガイド本を購入していたことが23日、分かった。木村氏は「不適切な支出だった。以前から同じような使い方をしている。後援会と相談するが、自分としては来春の市議選への立候補を取りやめる気持ちがある」と話した。
政務調査費は、政策の調査研究のために支給される、議員報酬とは別の経費。福岡市議は1人当たり年420万円。
議会事務局によると、木村氏は09年度、政調費1万6765円を使って23冊を購入。収支報告書に添付したレシート15枚に書名はなかったが、手書きで8枚に「教育関係」、3枚に「経済関係」、別の3枚に「福祉関係」、1枚に「環境関係」と記していた。
しかし、レシートの金額のそばに表示された国際標準図書番号(ISBN)から16冊の書名が判明。実際に購入していたのは、松本清張の「棲息分布―長篇ミステリー傑作選」や西村京太郎の「韓国新幹線を追え」などの推理小説、観光ガイド本「山陰 鳥取・松江・萩 ’10」といった、市政の政務調査とは直接関係がない本だという。
木村氏は取材に「権力の事実捏造(ねつぞう)やへき地教育などに関心があり、購入した。興味本位で政調費を使ったと市民が誤解するようであれば、不適切だった。以前から同種の本を購入しているので、さかのぼれる限り市に返還したい」と語った。
=2010/07/23 西日本新聞=