ご存じの通り、現在はそれぞれ総資産の30%以内と定められているのですが、日経新聞の3日の報道によれば、金融庁はこの規制を撤廃する方針だそうです。 背景は、海外の政策金利が底をはいずりまわる期間が長引く可能性が高まる中で、ヘッジ付き外債の予定収益率が相対的に高まっているからだと思います。さらに言えば、このところの日本国債金利の急低下により、これ以上いったい何に投資をすればいいのか、というのがとりわけ長期投資を行わなければならない生命保険会社の間では共通の悩みとなります。意外に思われるかもしれませんが、生命保険会社はまだ多くがALM的には資産サイドのデュレーションショートの可能性があります。本来的にはまだまだ長いのを買わなければならないのだけれど、これ以上金利が低下するとそれこそ逆ザヤを固定しながら買うはめになりかねない。 そこでその代替としての外貨建て債券をヘッジ付きで投資して何とか当面をしのごうということです。まあ海外短期金利が上がり始めたらヘッジをはずしてやり直せば、その時は円安にもなりやすくなっていることだし、何とかなると思っているフシがよみとれます。 ちなみに、国内株の投資枠の増加は、まあ目くらましというか愛想というかそういった類でしょう。今年に限って言えば、過去の持ち合いとかそういう遺物の解消がさきになり、増やすどころではないでしょうし、きちんとした成長のめどが見えない国の株など増やすところがあるとは思えないのですけれどね。 (追記) 市場的にちょっと懸念されるのは、これまで保険会社が買ってきた日本の国債のいくばくかが外貨建て資産にシフトしないか?ということ。うーん、ないとは言い切れないですねぇ。まだ30%まで行っているところはほとんどないけれど、いずれこの状況が続くと・・・という可能性は否定できません。 ただ、ヘッジ付き外債は完全な同等物とはいえないので、このことだけで現段階ではそれほど需給の悪化を心配するほどのことはないでしょう。 (追記2) すでに上に書いた内容からもお分かりのとおり、規制上の「外貨建資産」の残高と為替リスクの大きさとは異なります。規制上(業法施行規則48条)為替ヘッジを使うことで外貨建資産から除外できるのは為替予約等によって「円換算額が確定している場合」に限られます。ところが超長期の債券など20年先の償還金の為替予約を取るのは現実ではない上、金利差のメリットをほとんどギブアップすることになります。また会計処理として個別の予約を個別の外貨キャッシュフローにあててその換算額を帳簿価格として計上するやりかた(まさに施行規則が想定している除外例)は「振当処理」といって「金融会計に関する実務指針」などでは「例外」として当面のあいだ認められていると言う位置づけであります。またこれは事務的にも面倒であり、多くの会社は時価ヘッジ(為替予約と資産の為替変動部分を両建てで当期の損益計算書で処理する)または繰り延べヘッジ(為替予約と資産の為替変動部分を両建てで当該資産の処分時まで繰り延べる)を主として利用しているはずです。この場合は為替リスクは(とりあえず)ヘッジされていますが、短期のヘッジでロールしており償還時の円換算額まで確定していないので、規制上の外貨建資産の額には含まれたままとなります。 要するに生保が為替リスクをとらなくなっているからと言って、「規制上の外貨建資産の対総資産の比率」が増えこそすれ減っているわけではない、というところで、今回の記事は理解すべきだと思われます。 |
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金融起業家河合圭のオフショア投資ブログ 2010/07/12 19:01 |
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いわゆる5:3:3:2規制みたいなものですか、長期運用ファンドに適用されていた規制ですが、まだその類のものがあったのですか。(とっくの昔に撤廃されていたと思ってましたが) |
かる 2010/07/07 23:33 |
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