対北制裁:米国、秘密口座200口を徹底追跡(下)

 消息筋は「制裁対象となる特定企業や個人に対し、正確に打撃を与えることができるかを把握するまでに時間が掛かった」と話した。

 BDAのときのように、特定の銀行1、2行を公に制裁するならば、北朝鮮が「通常の貿易金融まで遮断され、住民が苦しむ」と反発する口実を与えかねないが、違法取引の証拠が明らかな口座だけを凍結すれば、北朝鮮は何も言えなくなる。クリントン米国務長官が、対北制裁が北朝鮮の住民ではなく、「北朝鮮の指導部に的を絞っている」と主張したのも、このような背景からだ。CNNは同日、「北朝鮮のエリート5000人をターゲットに金融取引を遮断する方法を検討中だ。特別な生活を享受してきたエリートたちの生活を混乱に陥れることになる」と報じた。イ・ジョウォン中央大教授は、「米国がBDA制裁のときとは異なり、北朝鮮に公然と反発する余地を与えず、指導部を苦しめる方法を見いだしたようだ」と話した。

 特定の銀行に注目する代わり、北朝鮮と一定規模以上の取引を行う銀行に対し、米国との取引を制限する方法で、包括的に制裁を実施するという見方もある。この場合、銀行は「資金洗浄の懸念対象」に指定されないよう、北朝鮮企業および個人との取引を自ら停止する可能性がある。

 北朝鮮はBDA制裁以降、既存の海外口座を仮名に変更したり、複数個に分散するなどの措置を取ったが、「米国主導の国際金融システムにおいて、完全に隠し切ることは困難」(安保部署当局者)とみられている。

 米国の北朝鮮口座に対する調査と関連して、韓国政府も、違法取引などに利用された可能性がある北朝鮮の口座10-20口の情報を米国側に通知したことが分かった。政府関係者は「対北事業を行う一部の企業と民間団体が北朝鮮に送金する口座のうち、軍部や党39号室(金総書記の統治資金を管理する部署)に関係するとみられる口座の情報を、韓米情報協力の次元で米国に伝えた」と話した。

 一部からは、中国が北朝鮮に対して大規模な支援を行う場合、米国の金融制裁は効果を失うのではないかという主張もある。しかし、2005年のBDA制裁当時、北朝鮮が「血が凍りつく」と訴えたことを考慮すれば、金融制裁はやはり効果的な対北制裁の一つになる、と専門家たちは分析している。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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