対北制裁:米国、秘密口座200口を徹底追跡(上)
米国が北朝鮮に対する金融制裁の強化策として、核開発や麻薬・偽造紙幣など違法取引に使われたとみられる北朝鮮の海外口座200口余りを徹底追跡していることが、22日までに分かった。
外交筋は同日、「米国は哨戒艦『天安』沈没事件が起こる以前から、大量破壊兵器(WMD)の開発と拡散、麻薬・偽造紙幣・偽造たばこ・武器輸出などに利用されたとの情報提供があった北朝鮮の口座約200口を追跡している。ここには中国やロシアだけでなく、東欧、アフリカの金融機関の口座も含まれている」と述べた。スイス、ルクセンブルク、リヒテンシュタインなどに40億ドル(約3480億円)以上を隠し持っているとみられる金正日(キム・ジョンイル)総書記の海外秘密資金も、米国の調査対象になる可能性が高い。
消息筋によると、ロシアの口座調査は、違法取引で稼いだ北朝鮮の資金をロシアのマフィアが「マネーロンダリング(資金洗浄)」しているという情報と関連がある。金総書記など指導部の実名や北朝鮮の機関名義では通常の金融取引が困難なため、北朝鮮はロシアマフィアの助けを借りて資金洗浄や、秘密口座の運営を行っているという。実際に昨年8月初め、フィリップ・ゴールドバーグ国務省対北制裁調整官(当時)がロシアを訪問した際、アレクセイ・ボロダフキン外務次官に対し、北朝鮮の資金洗浄に関与したマフィアの取り締まりを要請したという。
アフリカの口座の場合、北朝鮮がアフリカで象牙の密輸や武器販売などで莫大(ばくだい)な外貨を稼いでいるという事情がある。
北朝鮮筋は「北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁にもかかわらず、アフリカや中南米などで武器の新規販路を開拓している。アフリカや中南米にはホバークラフト、巡察艇といった小型艦艇やレーダーなどの空軍装備を主に輸出していると聞いている」と話した。
現在、米国が推進している対北金融制裁は、2005年に行われたマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の制裁とは少し異なると予想されている。外交筋は「BDAのように、米財務省の官報に“資金洗浄の疑いがある銀行”と公開して一つの金融機関を丸ごとまひさせるやり方ではなく、核開発や違法取引などに直接関連した北朝鮮の口座を追跡し、該当口座を凍結する方法になる可能性が高い」と語った。一種の「ピンポイント攻撃」形式の金融制裁になるという見方だ。
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