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金賢姫元工作員“VIP遊覧飛行”に批判の声

金賢姫元工作員を乗せたヘリを警備する関係者
金賢姫元工作員を乗せたヘリを警備する関係者
Photo By 共同

 来日中の金賢姫元北朝鮮工作員(48)が22日、東京都内のホテルへ移動途中、39分間ヘリコプターで“遊覧飛行”した。ヘリのチャーター料金は、一般的に40分間で70万円程度。重大テロの実行犯を特別扱いで入国させた上、“VIP待遇”する菅政権の対応について「(拉致問題解決に向けて)新たな進展もなく、パフォーマンスだ」と批判の声が上がっている。

 金元工作員は午前9時半ごろ、滞在していた長野県軽井沢町の鳩山由紀夫前首相の別荘を車で出発し、同11時45分ごろ東京都調布市の調布飛行場に到着。午後0時16分にヘリで離陸、同55分に江東区の東京ヘリポートに着陸し、拉致被害者家族が待つ千代田区の高級ホテルへ車で移動した。

 関係者によると、ヘリは神奈川県藤沢市の江の島上空や横浜市上空を飛んだ後、東京スカイツリー周辺などを通ってヘリポートへ。元工作員は当初内側の席に座っていたが、途中で窓際の席に移動。天候が良い日は江の島上空から富士山が見えるが、元工作員が上空にいた時間帯は空がかすんで見えなかったという。

 調布飛行場と東京ヘリポートは直線でたった約30キロ。移動だけが目的とは考えにくく遊覧飛行ととられかねない行動だ。

 菅直人首相は記者団に「安全確保の面からの措置だと聞いている。その点では理解いただけるのではないか」と説明。ただ、元工作員は1987年の大韓航空機爆破事件の実行犯として死刑判決が確定(その後特赦で釈放)しており、来日前に「二度と海外旅行はできないので、日本で旅行したい」と話していたとの報道もある。

 都内の航空事業会社によると、一般人がヘリをチャーターした場合、40分で約70万円。また、22日に滞在したホテルは、最高級のスイートルームの場合、1泊1室の宿泊料が105万円。調布飛行場はヘリの離陸直前、上空を旋回する別の民間ヘリに、飛行場を中心とした約5・5キロ圏外に出るよう「情報」を出すなど異例の対応をとった。

 来日は、拉致被害者横田めぐみさんの両親が希望し、両親と面会することが主目的だった。しかし、元工作員と21日夜に初めて会っためぐみさんの父滋さん(77)と母早紀江さん(74)は22日会見し、めぐみさんに関する新たな証言はなかったと明らかにした。元工作員は23日、釈放以降暮らしている韓国に戻る。

 <自民・谷垣総裁「パフォーマンス」>自民党の谷垣禎一総裁は記者会見で「極めて疑問が多い」と批判。「拉致被害者家族の心情を考えると、少しでも情報が欲しいという気持ちは理解できる」と述べた上で「大韓航空機爆破事件の実行犯であり、VIP待遇で鳩山前首相の別荘に泊めるとか、パフォーマンスとしか言いようがない。国際的に日本はテロをどう考えているのか、理解が得られない」と指摘した。安倍晋三元首相も都内で記者団に「専門知識を持った取調官が事情聴取する必要があった」と強調した。公明党の山口那津男代表は「政府の活動として税金を支出するなら、(来日させる)必然性をもっと国民に説明する責任があるが、説明が十分ではない」と語った。

 <被害者家族が面会も…新たな情報なし>千代田区のホテルでは午後3時から約1時間半、拉致被害者有本恵子さんの両親や、増元るみ子さんの弟の照明さん(54)ら家族9人と面会。家族は面会後の会見で、それぞれの被害者について新たな情報はなかったことを明らかにした。

 同席した支援者によると、金元工作員は横田めぐみさんと北朝鮮で会った時期について「中国語を学んでいたころだった」と説明。支援者は「84年ごろとみられる」と話した。金元工作員は同日夜、家族や中井氏を交えてホテルで夕食をとった。

Yahoo!ブックマークに登録 [ 2010年07月23日 ]

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