今月15日、小学生の男児らにわいせつな行為をし、撮影した画像をインターネット電話サービス「スカイプ」を通じ他人に提供したとして、男5人が大阪府警に逮捕された。大量のデータ送信が可能なスカイプのファイル転送機能を使って画像をやりとりしていたというから、サイバーポルノの蔓延は想像を絶する。実際、先ごろ米学術サイトが発表した、世界のインターネット上で繰り広げられる“ポルノ汚染”の実態は、恐るべきものだった。
米学術サイト「オンラインMBA」の調査によると、ポルノ関連サイトは全世界のサイトの1割以上を占め、毎秒2万8258人が何らかの形で鑑賞しているのだという。全世界で2億を超えるインターネットサイトのうち、ポルノ関連は2464万4172サイトでおよそ12%。毎秒2万8258人の鑑賞者が落とす金は、3075ドル64セント(約28万円)に上るという。
「エロサイトはカネになる」と多くの人が飛びつくのもムリはないが、アメリカだけで4000万人以上が日常的にエロサイトを鑑賞し、このうち3人に1人は女性。全世界で49億ドル(約4500億円)を稼ぐ、まさに世界的一大産業だ。
検索エンジンのキーワードもエロだらけ。サーチの25%に当たる6800万件がポルノ画像関連で、実際のダウンロードデータに至っては35%に上昇。1日にやりとりされるメールの8%にあたる約25億通もポルノを含むものという。ちなみに、「仕事中にポルノ画像を見たことがある」人は男性のネットユーザーの2割というから、これは意外というべきか。
「エロは万国共通」では済まない深刻な話もある。「児童ポルノ」の検索件数は1日あたりおよそ11万6000件で、初めてポルノ関連サイトに目を触れる平均年齢も11歳まで低下。この状況について、サイバーポルノと刑法が専門で弁護士の園田寿・甲南大教授は、「ポルノサイトが蔓延していることは間違いないが、こと児童ポルノに関しては日本と欧米で基準が違うから一概に比較はできない」と指摘する。
「子どもの性的虐待サイトは言語道断ですが、それ以外のサイトについては児童ポルノの基準は日本と欧米では大きな開きがある。水着姿の20歳未満の女性の画像も児童ポルノと捉える国もあれば、ポリネシアやアフリカでは年齢に関係なく、女性の上半身裸が当たり前の地域もあります。そういった意味で、『文化としての性』の垣根をインターネットというお化けツールがボーダーレス化しているといえます」
かつての家庭用ビデオデッキの爆発的普及がそうであったように、インターネットの進化も「エロ」抜きには語れないようだ。