【イスタンブール】トルコは21日、イランからの天然ガス・パイプラインの爆発を受けて、このパイプラインの閉鎖した。トルコでは最近クルド人武装勢力の攻撃が活発になっている。
トルコ国営ガス・石油パイプライン会社、ボタスはこのパイプライン閉鎖を確認した。トルコ軍によると、1日前には、クルド労働者党(PKK)武装勢力がイラクとの国境付近で攻撃を仕掛け、6人を殺害した。攻撃が頻発していることでトルコは態度を硬化させている。PKKとの紛争ではこれまでに双方で約4万人が死んでいる。
ボタスの広報担当者は、イランとの国境付近のパイプライン爆発の原因はまだ分かっていないと述べた。修復には1週間かかるが、その間消費者へのガス供給は途絶えないという。ロシアのガスプロムは21日、イランからの供給分を補うため、黒海経由でのパイプライン「ブルー・ストリーム」を使ってトルコへの供給を増やすと発表した。
疑いは6月にイラク―トルコ間の石油パイプラインを爆破し、イラン国内でも政府に圧迫されているクルド武装勢力にかかっている。服役中のクルド運動指導者、アブドラ・オジャラン氏が5月、進展がないためトルコ政府との和平交渉を中断すると発表して以来、トルコでのPKK武装勢力の攻撃が強まっている。
PKKの攻勢を受けて、昨年クルド側の一部要求受け入れと対話改善を目指したトルコ政府は、国内での民族主義の高まりと来年選挙を控えていることを背景に、強硬な姿勢に転じている。
21日の英BBC放送によると、PKK武装勢力を率いるムラト・カライラン氏はイラク北部の基地で同放送に対して、トルコ政府が停戦に同意し、クルド人市民と政治家の殺害、逮捕をやめれば、国連の監視の下で武装解除をする用意があると述べた。同氏はまた、トルコが無視すれば、「われわれは独立を宣言せざるを得なくなる」と語った
PKKはトルコ、米国、欧州連合(EU)によってテロリストグループに指定されている。トルコの国民の最大5人に1人はクルド人。クルド人はトルコのほか、イラク、イラン、シリアの一部も自分たちの領土だと主張している
トルコ政府は昨年、クルド語のテレビ放送を認めるなどクルド側の要求のいくつかを受け入れたが、このイニシアチブは、イラクから国境を越えて投降したPKKメンバーが恩赦を与えられる代わりに裁判にかけられるなどの逆行に直面した。裁判所はクルド人の主要な政党、民主社会党(DTP)を禁止。検察は6月にトルコ東部で、市長を含むクルド人政治家約150人を逮捕した。