2010年5月26日 11時29分 更新:5月26日 12時10分
強盗強姦(ごうかん)罪など四つの罪に問われ、今年1月に静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で懲役13年の実刑判決を受けた山梨県富士吉田市、無職、大谷祐介被告(24)に対する控訴審判決で、東京高裁は26日、1審判決を破棄し、懲役12年を言い渡した。中山隆夫裁判長は「1審判決の直後に強姦事件の被害者1人との間で示談が成立している」と減刑理由を述べた。裁判員裁判の判決が2審で破棄されるのは初めて。
控訴審で弁護側は「1審の量刑が重すぎる」と主張した。これに対し、中山裁判長は「言い渡し時点では重すぎて不当であるとは言えない」と指摘。さらに「1審判決後の示談成立を被告の有利な事情と取り扱うのは裁判員制度の趣旨にもとる」と述べた。一方で、交渉経過を踏まえ、示談成立が1審判決後になったことはやむを得ないと判断。「判決前に示談が成立していれば、より短い刑になったと考えられる」と結論付けた。
判決によると、大谷被告は09年5月26日午後7時半ごろ、静岡県内の女性宅に侵入、現金7000円を奪い、性的暴行を加えて、けがをさせた。このほか強姦1件、強姦未遂2件を起こした。【和田武士】