赤ちゃんポスト:15人のうち1人は親元に 熊本09年度

2010年5月25日 21時57分

 熊本市は25日、慈恵病院(熊本市)が親が育てられない子供を匿名で受け入れるために設置した赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)の09年度利用状況を公表した。15人が入れられ、14人の身元が判明したが、親元に戻った子供は1人で、家庭復帰の難しさを改めて示した。

 15人のうち新生児(生後1カ月未満)13人、1歳以上の幼児が1人いた。全員虐待の跡はなかった。身元が分かった14人の親の居住地は、関東が5人で最多。以下九州3人、中部・近畿・中国が各2人。熊本県内はいなかった。母親の年代別では20代が9人と最も多く、10代3人、30代2人だった。

 熊本県の検証会議が09年11月にまとめた最終報告は、親がポストを利用した背景などを盛り込んでおり、熊本市は今回から公表項目を7項目増やし25項目とした。新たに公表された、ポスト利用の理由は「未婚」「世間体・戸籍」が6人ずつで最も多く、「祖父母の反対」などが3件と続いた。両親の関係は夫婦が2組、恋人などが4組。別に妻子がいる父親2人、別に夫がいる妻1人の不倫関係が3件あった。養子縁組の成立や里親委託など、その後の子供の状況は公表されなかった。

 会見した慈恵病院の蓮田太二理事長は、身元が判明した子供が親元に戻っていないことについて、「児童相談所は家庭で育てるよう努めてほしい」と、親元に戻れない場合は養子縁組を勧め、新しい家庭を得られるよう努力するよう訴えた。【結城かほる】

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