低温殺菌牛乳は一般に美味しいと信じられています。 美味しい低温殺菌牛乳を一度飲んだら、まずい超高温殺菌牛乳など飲んでいられないといった低温殺菌牛乳を絶賛する声がWeb検索すると結構出てきます。 関連書籍を読んでいても、低温殺菌牛乳は美味しいことになっています。 よく読むと、著者自身は飲んでいないらしく、美味しいと言われているといった記述も見かけます。 飲み比べをした記事があります。 「別冊宝島1453 牛乳は体に悪いのか」(宝島社・2007年08月)の30ページから33ページに書いてあります。 低温殺菌牛乳としては、タカハシ乳業のノンホモパスチャライズ牛乳が選ばれています。 これと大手メーカーの超高温殺菌牛乳、低脂肪牛乳、乳脂肪分を水増しした加工乳、カルシウムを水増しした乳飲料の合計5種を目隠しで4人の方が飲み比べをし、中身当てと美味しい順の結果がのっています。 中身当てはともかくとして(難しい)、美味しい順の結果はおもしろい。 低温殺菌牛乳は4人の方がそれぞれ1位、3位、4位、5位にランクしておられます。 5位にランクした人は1位に超高温殺菌をあげており、この方はなんと5種類とも中身当てを的中しておられます(他の3名は1種だけ的中)。 選ばれている銘柄が限られていますので、これだけでは何も言えませんが、なかなか興味深いテスト結果です。 一般に低温殺菌牛乳はうまいことで知られているようです。 超高温殺菌牛乳はコゲ臭いというのも定説のようです。 そして、普通飲み慣れているのが刷り込みによって美味しいと感じられ、飲み慣れていない物は美味しく感じにくいのではといった考え方もあります。 それぞれ一理あるでしょう。 でもちょっと気になることがあります。 低温殺菌牛乳はうまいと言い切っている人がいても、どの銘柄を飲んで言っているのか明記したのはあまりなく、明記してあっても一種だけとか、片寄った意見をよく読みます。 先の書籍のように、伝聞だけで美味しいと言っている人もいます。 場合によっては、製法がより自然に近いからという理由で、つまり単なる「天然信仰」、「自然信仰」の考えからだけで美味しいと感じる、あるいは美味しいと感じないといけないという強迫観念から美味しいと言っているだけの人もいるかもしれません。 低温殺菌牛乳は一般に超高温殺菌牛乳に比べて高い。 特にビンに入っている低温殺菌牛乳は、ビン代を差し引いても高い。 (個人的なテータはここ) そのことから、高い物をありがたがるという考えから、単に美味しいと言っているだけかもしれません。 もちろん、本当に美味しいと感じている方もいらっしゃるでしょう。 そこで、自分の味覚を、もちろん一般的というわけではありませんがとりあえず、自分の味覚を試してみることにしました(妻も一緒に協力してくれました)。 手に入れた低温殺菌牛乳は多岐にわたります。 前回のブログでも書いたように、通販では購入しませんでした。 地元のスーパー、百貨店の地下売り場、百貨店の物産展、牧場、牧場直営店、宅配専門の牛乳販売店など、売り場や牧場など現地に行って手に入れました。 リストは ここ です。 それぞれ写真も撮ってありますが、膨大な枚数なので、まだ整理し切れていません。 一般に、120℃や130℃で2秒や3秒での殺菌を超高温殺菌牛乳といいます。 それより低い温度で殺菌した物は、高温殺菌牛乳や低温殺菌牛乳と言われています。 手に入れた高温殺菌牛乳と低温殺菌牛乳(つまり超高温殺菌牛乳ではい)は、17道府県、36社から65種類です。 同じ銘柄でサイズが違うだけの物もあります。それも入れると、85種類手に入れました。 パッケージやビンはほぼすべて保管していますので、これだけ集めると、結構壮観です。 殺菌の条件は多彩です。 ここでまとめてもいいのですが、リストを見たほうが早いでしょう。 リストは、殺菌条件順にソートしてあります。 そこで、味なんですが、私の味覚を書いても仕方がないのですが、とりあえず飲んだ感想。 低温殺菌牛乳だからといって美味しいと単純にはいえません。 美味しいと感じた低温殺菌牛乳が確かにありますが、一口飲んだだけでウッとくるような、とても飲めた代物でもないものまでバラエティに富んでいます。 つまり、いろいろあるという、ごく当たり前の結果です。 低温殺菌牛乳独特の臭いと味があることが、飲み比べ始めたときから気がつきました。 低温臭と勝手に呼んでいます。 これを文章で説明するのは難しい。 この低温臭がきついのから微かに感じられるものまでいろいろです。 私にとってはこの低温臭が苦手です。というか、低温臭がきついのは飲めない。 とくに、草の臭いのするのはそのままではとても飲めません。 (もちろ、どんな不味い物でも作るのは大変でしょうし、牛さんに申し訳ありませんから、きちんと飲むか料理に使用しています) 一般に、65℃で30分間の殺菌処理をした牛乳に低温臭があり、75℃以上で殺菌した牛乳にはその低温臭がないのが多く、飲みやすい傾向があります。 もちろん、例外もいっぱいありますので、一概に言えません。 65℃殺菌でも美味しい牛乳があります。 63℃で30分殺菌の牛乳もあります。 ここまで温度が下がると、低温臭が強くて飲めないものもあります。 一番不味かった牛乳はこの温度です。 もちろん飲めるのもあります。 一般的な傾向として、低温殺菌牛乳より高温殺菌牛乳のほうが低温臭がなくて飲みやすい。 超高温殺菌牛乳はまたちょっとタイプが違います。 超高温殺菌牛乳の味とよく似た低温殺菌牛乳というのもあります。 これなど、本当は超高温殺菌牛乳なんだけど、低温殺菌牛乳と偽っているのでは?と思ってしまいます。 低温殺菌牛乳集めの初期の頃(2007年夏)に低温殺菌処理をする工場を2カ所を見学しました。 ひとつは低温殺菌牛乳の生産では全国区で名が知られているところで、近代的な(と思われる)大がかりな設備でした。 ここで見聞きしたことは別の機会にまた詳しく書きます。 もう一つの低温殺菌処理場は家族経営の小さな牧場兼工場です。 殺菌処理にはいわゆるバッチ法を採用しています。 先の大規模工場は加温した管の中を一定時間通過する間に殺菌する方法です。 ある牛乳販売店の人の意見では、この牧場を名指しして、バッチ法では正確な殺菌はできないので、つまりいい加減な殺菌方法なので信用できない、自分が売っている四国の牧場のは正確に殺菌していて信頼できると力説してくれました。 私が飲んでみて、いままでで一番美味しいと感じた牛乳は、このバッチ法で殺菌された牛乳です。 この牧場では牛はつながれたまま飼われていました。 夏の暑いときに見学に行ったからと思いますが、結構臭いました。 殺菌処理をするところも見せていただきましたが、古い、という印象が先にあり、これでいいのかとも思いましたが、なぜかここの牛乳が一番美味しい。低温臭は全くしません。 もちろん、見学してから美味しいと思ったのではありません。 最初にここの牛乳を飲み、美味しいと感じ、作っているところを見学しようと思って、アポもなしに突撃して見せていただきました。 先の販売店の否定的な意見もその後に聞きました。 大規模な近代的と思われる工場で作った牛乳は、一部山地酪農で飼われた牛で、日本でも珍しい牛由来です。 日本で一般的な乳牛はホルスタイン種で、一部ジャージー種が飼われています。そこにいたのはブラウンスイス種です。 農薬を使っていない飼料を使っていたり、放牧で飼っていたりとこだわりがあるそうです。 残念ながら牧場の見学はしなかったのですが、工場はあちこち見せていただきました。 うんちくも長々と聞かせていただきました。 ここはいろんな銘柄の牛乳を販売しています。 普通だなと感じたのもありますが、例の低温臭のするのもあり、ちょっと飲めないのもありました。 そういえば、一番不味かったのは、牛舎のない完全放牧牛由来の牛乳でした。 手間暇掛けたこだわりの一品が不味いなんて、ちょっとなんだかなぁ。 さらに、そういえば、先に広告批判したグリーンコープさんはかなり贅沢な牛乳を売っています。 「遺伝子組換え飼料不使用」の「ノンホモ」の「パスチャライズ(72℃, 15秒)」で、再利用できるリユースビン使用です(このビンだけ回収されてしまったので手元にありません)。 これだけ役者がそろえば、それなりの味かなと期待してしまいますが、意外にも、あっさりして飲みやすかった。 ○低温殺菌牛乳あれこれ やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)
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