「大相撲名古屋場所10日目」(20日、愛知県体育館)
前頭13枚目の豊真将が、新入幕の臥牙丸を退けて全勝をキープ。平幕で初日から10連勝したのは04年春場所の朝赤龍以来で、優勝争いに名乗りを上げた。横綱白鵬は稀勢の里に掛け投げを決めて42連勝。大関陣は琴欧洲が魁皇を倒して勝ち越しを決め、3連敗を免れた。日馬富士は鶴竜を下し、4連勝で6勝目。鶴竜は連敗を喫した。白鵬と豊真将がトップを並走し、2差で琴欧洲、鶴竜が追う。
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豊真将が、左からの下手出し投げで202キロの臥牙丸をねじ伏せた。「崩して前に出るつもりだった。あんなに簡単に決まると思わなかった」と話すが、今は何をやっても自然と決まる。
先場所は頸椎(けいつい)ねん挫で途中休場。場所前は不安だらけだったが「焦らずしっかり治して、トレーニングをやったことが調子の良さにつながった」と、初日から波に乗った。10連勝は06年九州場所以来2度目。ケガの功名で、受けから攻めの相撲に変えたのも好調の要因となった。
平幕で初日からの10連勝は朝赤龍以来で、唯一勝ちっ放しの“日本代表”が、V戦線にも異変を起こした。場所前は、野球賭博問題で大嶽親方(元関脇貴闘力)、大関琴光喜が解雇された。そして何の因果か、貴闘力(00年春場所)、琴光喜(01年秋場所)以来の平幕優勝に挑むことになった。日本人力士が優勝すれば、栃東(06年初場所)以来4年ぶりだ。
勝ち進めば「ストップ白鵬」の大役も回ってくる。友綱審判部長(元関脇魁輝)は「千秋楽まで当てず、決定戦で当たったら盛り上がるんじゃないの」と期待する。全勝同士の決定戦なら史上初。本人は「相撲がどうなってしまうか不安だった。声援がありがたいし、ファンの声にこたえたい」と、世紀のクライマックスを目指して残り5日間に全力投球する。